融け残り
もう誰かのために
泣いたふりなんて
しないと決めた夜もあったのに
鈍く色づく
感情が冷めきる前に
擦れて剥けた心が
まだ灯るのはなぜだろう
静かに揺れるカーテンが
影を呼び戻す
ちいさな裂け目から
差し込む陽が
やけにまぶしかった
――― たぶん
愛なんて
融けかけの氷菓みたいに
焦がれて
痛くて
それでも唇に残してるもの
いまさら言葉なんか
追いつけない
気づいてしまった
――― 嘘に優しい声
耳を撫でて
無意識に
名を呼びかけそうになる
そのうち
これも同じ痛みになる