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5話――俺の背後に推しがいる《完結》

◇◇◇


「まーた見てるんですか。羽角七菜子のライブ」

楠木がオフィスで声をかけてきた。


「何年も同じ映像見てよく飽きませんね。もう彼女が更新・・されることはないのに」


「固執して何が悪い」


「新しい推し見つけましょうよ~。推しのいた生活より推しのいる生活! 推しの未来を見守れる方が精神衛生上良いじゃないですか」

「お前大好きなリンゴたんが結婚したらどうする」

「相手を殺します」

「精神衛生上良くないだろ」


「ていうか先輩また顔色悪くなってないですか?」


「ええぇ俺顔色悪い?」


「悪いですよほら」

楠木から差し出された手鏡(リンゴたん柄)で顔を見ると確かにどす黒い土色の顔色だった。


「霊に目をつけられてる予兆かもしれませんよ。お祓い行ったばっかなのにもう新しいのくっつけるなんて。先輩霊にモテモテっすね」


「なんだよそれ全然うれしくない……ッ!?」



言った同時に背中がズンッ……!!と重くなった。



その途端始まる謎の頭痛に吐き気。

ダルさ、悪寒、肩こりの不調オンパレード。

俺の体にあの日の感覚が舞い戻ってくる。


「こ、このダルさは……」


いっきに重くなった背中の方に首をまわすと、見慣れた紅茶色のウェーブ髪がふわりと頬にかかった。


『へっへー帰ってきちゃった』



「なぜに!?」


俺から離れたはずじゃ!?


『いやぁ私がずっと憑いてたら琉太くんが弱るのは事実じゃん? だから少しの間あの世に里帰りして君が回復したらもう一度憑く予定だったのさ』

「あの世に里帰りって何!!」

『はっはっは』

「笑ってる場合か!」


『元気そうで何より。これならドラマ1クール分は居られそうだ。死にそうになったらすぐ言ってね。充電は早めにするに限るから』


「元気になったらまたとり憑くって悪魔ですか!」


『あれ? 君は私のこと砂糖菓子のように甘くて儚い女の子だって思ってるんじゃなかったのか。君の背後にいる推しは悪魔なのかい?』


背後からまわされる腕から逃れられることはきっと、ない。

毒々しくも甘い背後の彼女との日常はこれからもずっと続いていく。


俺の生命と健康を削って。


「いいえあなたはとびきり素敵な天使様です!」



完結です。ここまで読んでいただきありがとうございました!少しでも元気でた!楽しかった!と感じて貰えたら幸せです。

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