14話 日常
あれから俺と先輩は、海から離れ解散することにした。藤井のことは頭の隅で気になってはいたが、帰り道でちょっかいをかけてくる事はなかった。
家についてもまだ昼過ぎだったので、俺は昼食をとった後、仮眠することにした。
起きれば時刻は午後6時。約5時間ほど寝ていたようだ。仮眠の目安は15分から20分らしいが、これはもはや昼寝である。
俺は軽く伸びをし、目を覚ましてから部屋を出た。リビングへ降りると、両親はまだ帰ってきておらず、昼寝というヘマをしたことがバレなさそうで俺は胸を撫で下ろした。
特に母はうじうじといつまでも俺のヘマを弄りかえすので、少々――いやこの場合多々といってもいい――面倒なのだ。
そろりと、いもしない何かに怯えつつ擦り寄り、テレビを付ければ、夕方なのに心霊番組がやっていた。
夕方にあまりテレビを見ることがないので、この番組がこの時間帯にするようなものなのかは知らない。
その心霊番組の内容もいい加減なものというか、ありがちなものだった。その内容に対して、タレントがあたかも知らないかのように反応するだけ。
特に気になる内容もなく、俺はテレビを消した。
俺は思い出したかのように、ヘマしたことがバレないように、そそくさと夕食の準備をした。そのまま急いで食し、再び2階の自室へと戻った。
そのまま俺は二度寝と洒落込み、起きれば午前7時。ほぼ12時間も睡眠していたことに気が付き、バッと上体を起こした。
――1993年 1月5日 火曜日
最近、沈むように眠ることが多くなっている気がする。これは正月太りとやらに含まれるのだろうか。食べ過ぎ寝すぎ。これは正月太りなのだろうか。
否、正月太りとは、太ってからが正月太りなのだ。俺はそう思うことにした。少なくとも俺はまだ太っていないので正月太りはしていない。
そんなことを考えている俺の瞳に瞼の上から日光が差し込んでくる。
冬の午前7時といえば、このあたりでは丁度日の出くらいの時間である。日の出が7時に見られるのは、何だか得した気分になる。
中学の修学旅行でも、日の出まで起きるとは言ったものの結局、深夜2時には耐えられなくなって眠ってしまった。
早起きすればいいと言われればそれまでなのだが、何となく早起きよりも、ずっと起きているほうが楽に、というより確実に感じる。これは季節が違うというのも関係しているのだろうが。
日光にあたり、体、頭共に目を覚ましたことで、色々な事が頭を巡っていた。
リビングの炬燵の電源を付け、そそくさと毛布の中へ入った。極寒から解放されたが如く、情けない声を出しながら、炬燵が暖まっていくことを確認する。
12時間睡眠特有の寝たりなさを感じながら、欠伸をした。これからすることを考えつつも、体は温もりを求め続ける。昨日の海で体が冷えたからか、尚更渇望が強い。
俺は覚悟を決め、炬燵から出、朝食を用意することにした。
今日の、と言えば何となく特別感が出るが、残念ながらいつも通り食パンである。まだ眠い頭を揺らしながら食パンを用意する。
こういうときは、何も考えない時間があるのに、意識すれば何も考えないということが出来なくなるのは何故なのだろう、と常々思う。
いくら考えても分からないことを考え続けても仕方がないので、一旦思考を切り上げ、この一瞬で食べ終わった食パンの片付けをした。
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