表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花の乙女  作者: 姫柊ほの
1/18

プロローグ

 この国には言い伝えがある。


 「白く、香しい『サクラ』の花を咲かせる乙女を手に入れる者

  世を統べ、安寧への導き手となる。」


 この世には、体に花を咲かせる「乙女」が存在した。

 ごく稀であるが、花の形をした痣が15歳になるまでの少女の体に現れた。


 花の痣を持つ少女は、その痣の花の名の「乙女」と呼ばれる。

 花の「乙女」はその花の髪色をもち、そしてその容姿も花のように美しい。

 花は「乙女」を現し、「乙女」は花のように周りを癒やし、まるで、花に集まる蝶のごとく他を魅了する。


 花はその種類によって、それぞれに意味を持つ。

 「花」は、その位が上に行くほど稀少且つ「特別」となるが、一番弱い意味を持つ「花」でも「魅了」の特性を持っていた。

 それだけでも、何も持たぬ男にとっては、手に入れたい「花」であった。


 乙女は自身を捧げる事によって、花を咲かせる。つまり、その「花」を自身の体から取り出し、花の持つ能力と共に男に与える事となる。


 「乙女」が体から花を取り出せるのは、生涯でただ1度のみ。


 そして、一度「花」与えた乙女は、その体に花の痣を残し、只人となる。

 男は「乙女」を生涯大事にすることで、乙女の体から取り出した「花」を咲かせ続けることが出来、その「花」の恩恵を受けることが出来る。

 それは、もし「乙女」が先に天寿を全うしたとしても、男の「乙女」への愛が本物であると「花」が認めたのなら、恩恵は男がその天寿を全うするまで受け続けることが出来るというものだった。



 時は流れ、花の「乙女」は伝説と語り継がれるだけの存在となり始めた頃、貴族の女性の間で自身の体に「花の入れ墨」を入れることが流行となり始めた。

 幼少の頃に入れ墨を入れると、体が大きくなるにつれその形が崩れるので、成人してから体に入れるのだ。

 体に入れる花によって、その上位、下位を決められる。

 上位の入れ墨となれば、より深く入れられるので、女性達は薬を使っても効力が切れるとぶり返す痛みに耐えながら、「上流階級子女の証」として、花の入れ墨を体に施した。



 だが・・・。


 花の『乙女』は、確かにこの世に存在している。 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ