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乱暴にしないで、お兄様

「おい、起きろ、萌々子(ももこ)

「すうすう。むにゃむにゃ。萌々子はお休み中です。まだおねむです」

「んなわけないだろ!」


 俺はブランケットを引き剥がす。


「きゃ!」


 萌々子が俺のベッドの上で軽い悲鳴を上げた。パジャマがはだける。恥ずかしそうに萌々子が両腕で胸を隠した。決して小さくない二つの膨らみが押しつぶされ、かえって扇情的だ。


「乱暴にしないで、お兄様……」

「俺のベッドに潜り込むな。何度言ったらわかるんだ?」

「んー、1000回くらい?」


 とぼけた笑顔で萌々子が答える。


「そうか。なら言ってやる。俺のベッドに潜り込むな俺のベッドに潜り込むな俺のベッドに潜り込むな俺のベッドに潜り込むな俺のベッドに潜り込むな俺のベッドに潜り込むな俺のベッドに潜り込むな俺のベッドに……」

「お兄様の意地悪!」


 萌々子が俺に枕を投げた。

 ぽす。顔面にヒット。


「萌々子、お兄様と一緒におねむしたいだけなのに!」

「おねむしたいだけ?」

「そうです!」

「そうです、じゃない! 問題あるだろ、それ!」

「問題ないもん!」


 だだをこねる萌々子。


「あのなあ、萌々子。お前、何歳だ?」

「ん? 萌々子、15歳ですよ?」

「そう15歳だ。そして俺は17歳。互いを異性として認め、尊重する必要がある年頃だ」

「そんちょー?」

「そう。尊重だ。だから、俺の布団に潜っては駄目だ」

「妹なのに?」


 萌々子が潤んだ瞳で俺を見つめた。

 俺は思う。

 萌々子は美しい。


 萌々子は美少女だ。まれにみる美少女だ。長い睫毛と艶やかな唇、そしてすっと通った鼻筋からはすでに大人の色香を感じる。だが、一方で柔らかそうな頬にあどけなさの残滓がある。思わず指でふにふにしたくなるほどだ。


 そんな美少女それも15歳。それが17歳健康男子のベッドに潜り込んでいるわけである。


「いや、だからさ。萌々子、お前、俺の妹じゃないじゃん?」

「妹だもん!」

「違うだろ! 俺は遠藤一郎、お前は岡本萌々子! 名字違うだろ!」


 そう。俺は一人っ子だ。そして目の前の美少女、岡本萌々子は俺の幼馴染みだ。某企業の社宅で隣同士だった仲だ。共に職場結婚。すなわち俺の両親と萌々子の両親は知り合いなわけで、俺たちはまるで兄妹のように育てられたのだ。

 つまりただの幼馴染みだ。わけあって、二人だけでひとつ屋根の下に住んでいる。


「え? お兄様にとって、萌々子は異性の範疇に入るんですか?」


 おどけた調子で萌々子が言った。


「俺は男で萌々子は女。異性は異性だ」

「いつ確かめたんですか? どうやって、どこを確かめたんですか?」


 萌々子がベッドの上で身体をくねらせる。きゅ。より一層、胸の谷間が強調された。両脇から押さえられた双丘の谷間と膨らみが俺の網膜を直撃した。

 ああ、そうだ、萌々子。まさにそのへんの膨らみこそ、お前が異性である証だ。


 ……って、そうじゃない! 俺はあわてて目を逸らした。


「さ、いつまでもふざけていないで制服に着替えなさい。高校生になったんだぞ? 中学とは違って電車通学だ。乗り遅れたら遅刻なんだぜ? おまけに今日は始業式。初日から遅れるなんざ、あってはならないことだ」

「わかりました、お兄様」

「そっか。じゃ、着替えろ」

「お着替え? ここで? お兄様ったら、えっちね。いいよ、お兄様だったら」


 ちょっとだけ顔を赤らめながらも、萌々子は服を脱ぎ始めた。


「ここじゃない! 自分の部屋! じ・ぶ・ん・の・へ・や!」

「はーい」


 途中までボタンを外したまま、いそいそ自室へ帰っていった。


「ったく……」


 俺は苦笑する。そして呟く。


「婚約の事実を知ったら、あいつどうなるんだろう」


* * *


 事のはじまりは、独身時代の俺の親父と母さん、そしておなじく独身だった萌々子の親父と母さんが社内旅行で……などと解説するつもりはない。いろいろあって両家は「お互いの子どもを結婚させよう」というおよそ子どもの人権を無視した約束をしてしまったことにある。

 さらに、何も分かってない幼年時代。萌々子が俺に「ももこ、大きくなったら、いちろーのお嫁さんになる!」と言った。俺は「いいよ。僕、ももこをお嫁さんにするね」と返事した。


「そうか、お前等相思相愛だな!」


 その時の親父の笑顔を俺は覚えている。つか、親父のiPhoneにその時の動画が残っていて何度も見せられたからな。


「着替えましたよ、お兄様」


 背後から萌々子の声。真新しいブレザーに着替えた萌々子だった。短めのソックスから伸びる白いふくらはぎ。これまた短めのチェックのスカートから見える太もも。普通の男子高校生なら劣情に押しつぶされるだろう。だが、目の前の少女は()()()だ。俺にとっては妹的な存在。とてもそんな気持ちにはならん。


 婚約? 結婚? そして……子作り?


 ないない! ありえん! 口では「妹じゃない」と言いつつ、俺にとって萌々子はある意味()以上に()なんだよっ!


「早いな、着替えるの」

「お兄様が遅いんですよ。さ、早く着替えてください!」

「わかった。着替えるから、先に玄関で待ってろ」

「お兄様がちゃんと着替えるかどうか、萌々子ここで見張ってます」


 は? なんだそれ。


「着替えるに決まっているだろーが。とにかく、部屋から出て行くんだ。それとも何か? 俺が着替えるところ見たいのか?」

「兄の身だしなみチェックは妹の役目ですよ? お手々で目隠ししますから、気にしないでください」

「だから妹じゃないってのに……」

「妹だもん」


 部屋を出て行く気は無いようだ。

 萌々子が両手で目を覆った。しかし、指の隙間からチラ見しているではないか。

 萌々子は幼い頃から何も変わってない。いつだって俺に甘えてくる。ちょっかいを出しては、かまってもらおうとする。幼い頃はそれでいいけどさ……。


 仕方ない。俺は諦め、着替えることにした。


 俺が服を脱ぐたびに「ひゃ」とか「うわ」とかわざとらしく小声で叫ぶ。


「見てるだろ?」

「見てないです」


 見てないですじゃないだろ。見まくっているじゃないか。わざと声を出して俺の反応を待っているんだな。無視だ、無視。

 そそくさと俺は着替えを済ます。


「さ、着替えたぞ。もういいぞ」


 萌々子が両手を顔から離す。うっすら頬が赤い。なんだかんだ言って途中から恥ずかしくなったようだ。


「萌々子、本当に見てません」


 もじもじしながら萌々子が言った。


「……途中からは」


 聞かなかったことにしておこう。


「おふざけはそこまでだぞ。急ごう」


 次の電車を逃しても間に合うことは間に合うが、圧倒的に人口密度が違う。


 ヨーグルト、バナナ、パンで簡単に朝食を済まし、家を出た。


「えい!」

「……えっとなにやってんですか、萌々子さん?」

「え? お兄様と手を繋いでいるのですが」


 俺の手を萌々子が握っていた。


「違うだろ」

「ですね」


 萌々子が手を離した。そして今度は腕を組んできた。


 ぷに。俺の二の腕に何やら柔らかい感触。萌々子の胸だ。そっか。こんなに柔らかいんだ、女子の胸って。


 ……って、だ・か・ら、違うだろ!


「……あのなあ、萌々子。俺たち、戸籍的には兄妹でない。学校においても当然、兄妹ではない。だから、こんなふうに腕を組んだ状態で登校するって言うのはありえないんだ」

「兄妹だもん」

「萌々子。わかってるんだろ?」

「……うん」


 悲しそうな目で萌々子が頷く。名残惜しそうに腕をほどく。


「なーんて!」


 萌々子が飛びついてきた。今度は両腕で俺にしがみついている。2つの膨らみがぐいぐい俺の上半身に押しつけられてる。むむ。ダブルだとより一層柔らかいというか、豊かというか。


 いやいや。


「ちょ、萌々子!」

「あのね、お兄様」


 萌々子が俺の目をじーっと見つめる。


「萌々子、我慢します。学校では、お兄様のこと、ちゃんと、『同居中の年上の幼馴染み』ってことにしておきますから! 妹だってことは秘密にします!」

「だから妹じゃないっての」

「ふふ。そんなの、萌々子だって分かってますよ?」


 え? わかってるの?


「そ、そうか。だったら離れてくれないか?」

「はーい」


 おどけた調子で萌々子が飛び退く。


「萌々子は偉いから、お兄様のいうこと聞きまーす」

「うん、良い子だ。じゃ、急ごう」

「はい」


 俺たちは駅へと向かった。

「面白かった!」

「エロかった!」

「続き、読んでみようかな!?」


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