きめろ! ハットトリック! 【胸糞注意】
※ 後味の悪い作品です。読む前に注意して下さい。
巷で噂のドラッグ。
ハットトリック。
若者たちの間で大流行している。
俺は薬物の取り締まりに尽力し、多くの成果を上げる。
売人グループも壊滅に追い込んだ……その矢先に、妻がドラッグの不法所持で捕まったと聞いた。
「お前……何を……」
取調室に座らされる妻。
姿勢を正して席についている。
「聞いた通りよ、あなた。
私……ハットトリックをきめてたの」
そう言う彼女の前には小さな注射器が三つ。
ハットトリックは三つセットで売られている。
間隔を空けて三回打つことで、この世のものとは思えない快楽を味わえるという。
禁断症状を起こすと精神に異常をきたし、再び薬を求めるようになる。
この薬は一本打つだけでは禁断症状が収まらない。
再び快楽を味わうには必ず三本打つ必要があるのだという。
「腕を……腕を見せてみろ!」
妻の右腕をつかんで引っ張ると、小さな注射痕が三つ。
言い逃れはできない状況だった。
「どうして……どうしてだよ!」
「さぁ、私にも分からないわ」
不貞腐れた様子で憮然とした態度をとる妻は、まるで別人のよう。
俺は彼女にできることは何でもやった。
子供が幼くして死んだ時も、泣きじゃくる彼女を抱きしめて、ずっと傍に寄り添った。
なのに……どうして!
「俺にはもう……お前が何を考えているのか分からない」
「ええ、私も。私自身どうすればいいのか……」
「…………」
妻はずっと苦しんでいたのだろう。
平気なふりをして、ずっと俺を騙していたのだ。
本当はもう心が壊れていたのに……。
それから妻は罪を認め、裁判では執行猶予が付いた。
俺も仕事を止めて彼女の地元へ行く決意をした。
なれない都会暮らしをやめ、二人で一からやり直すのだ。
「なぁ……まだ辛いか?」
「うん、毎朝ハットトリックのことを思い出しちゃう。
また打ちたいなーって」
「そうか……」
妻が薬物に手を出したのは辛い過去を忘れたいがためだろう。
薬のことを思っている間は子供のことを思い出さずに済む。
あの子が死んだのは……きっと俺のせいだ。
夜泣きする子供をあやしている時に、落ち着かせるために薬を飲ませた。
その翌日には……。
「ねぇ、話……聞いてるの?」
「すまん、ぼーっとしてた」
「運転しながらやめてよね」
「ああ、悪かったよ」
俺は何があっても彼女を見捨てない。
ハットトリックなんかよりもずっと幸せな夢を見せてやるよ。
永遠に……。
最後まで書いてタイトル見て……きめろ! じゃねーよと一人で突っ込んでしまった。




