表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

235/353

27.あやしさ全開

 とにかくこれ以上何もしませんという意思表示で、両手は上にあげておく。

 いくら何でも衝動的に動きすぎでしょっ、僕っ!もう少し考えてから行動しないとっ!


「そこはさぁ、優しくお帰りって言ってくれてもいい場面じゃないかなぁ?」

「ちょ、まっ……!ごめんっ、待ってっ!!」


 なのになんでっ……!なんで手をあやしく動かしながら近づいてくるのかな!?

 あとジャスミン顔!!悲しそうに見せてるけど、口元ちょっと笑ってるから!!気付いてないでしょ!?


「なんで逃げるのー?デジェルひどーい」

「ちがっ……!!待ってジャスミン!!今のはそのっ……!!心配してたからついっ……!!」


 そう!ついやっちゃっただけだから!!他意はないから!!

 それに逃げるでしょ!!そんなあやしさ全開の手の動きしてる人からは!!たとえ女の子でも!!

 むしろ相手がジャスミンだからこそだよね!?


「いいじゃん!!久々の再会なんだから!!もうちょっと抱きしめててよ!!」

「わーわー!!ちがっ、違うんだってジャスミン!!そうじゃなくて!!」


 あぁ!これいつも通りのやつだ!僕が追いつめられるやつだ!

 どうしようどうしようっ……どう言ったらジャスミンは納得してくれるのかな!?

 むしろ僕の話、ちゃんと聞いてる!?


「抱きしめてくれたのはデジェルの方じゃんかぁー」

「そっ……そうだけどそうじゃなくて!!!!」

「デージェールー?」

「待ってってば!!ジャスミンっ……!!」


 少しずつ逃げるように後退していってたのに、背中に壁があったっちゃって。

 しまった逃げ場がない!って思った次の瞬間。


「えーい!」

「わああぁぁ!!!!」


 今度はジャスミンが抱き着いてくるし!!

 分かってたけど!!分かってたけども!!

 だからこそ避けたかったのに!!


「ちょ、ジャスっ……」

「うーふーふー。そっかそっかぁ。私がいなくて寂しかったんだぁ」

「ちがっ……わないけど!!確かに心配したし寂しかったけど、そうじゃないよね!?!?」


 寂しかったけど!!心配もしたけど!!

 今はそれどころじゃないんだよ!?


「えへへへへ~」

「ちょっ!?ジャスミンってば~~!!」


 待って待って待って待って!!そんなに頭擦りつけてこないで!!

 ほんとっ、だめだからっ……!!

 この子、僕が男だってこと、理解してないよね!?


「再びの攻防戦だー。凄いなぁ」


 親方うるさい!!!!

 なに一人のんびりつぶやいてるんだよ!!少しは弟子を助けてよ!!

 あとちょっと普段と喋り方違うの気持ち悪い!!


「デージェル♪」

「ちょっ、待って……!ジャスミン、お願いだから、待ってっ……」


 これ以上は持たない気がする。色々と。

 そう!!色々と!!!!


「いーやーだー」

「お願いだからぁ!!」


 もはや涙目になりながら必死に懇願してる僕の声なんて、ジャスミンにとっては関係ないらしい。

 さらに強い力で抱き着いてくるこの子を引きはがすことも、逆に諦めて抱きしめることもできなくて。

 もう、なんか、本当……僕一人、自分の中の色々なものと戦ってたんだけど……。

 気付いてない。ジャスミンは絶対、気付いてない。

 あと裏でひっそりと楽しそうに笑ってた親方。あの人は逆に全部気付いてた。


 本当になんであの人助けてくれないの!?同じ家の出身だよね!?同じ男だよね!?分かるよね!?

 幸いなんとか耐えきったけど、弟子がいけないことする前に止めるのも大事じゃないのかな!?ねぇ!?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ