ヒーロー?いやいやとんでもない!ただの働く人ですよ!
青く美しい空、たおやかに流れる雲、表情豊かな人の群れ…
いつもと変わらないいつもの朝である
そんないつもの朝に鳴り響く何か巨大なモノとモノがぶつかり合うような爆音
そんな音に釣られて目覚めた男がぼそりとつぶやく。
「4日目だぞ...」
男はむくりと起き上がると昨夜の内に机の上に置いておいたコップの水を飲み干し、身支度をする
いつもの服を着て、いつもの仕事道具を持ち、顔を洗い歯を磨く。
玄関前に立ち靴を履き、ガチャリと玄関のドアを開きつつ男はため息を吐き一言
「また土道のオッチャンに怒られちまうなァ…」ーーーバタリ
玄関の鍵を閉め、くるりと振り向き重い足取りでその音の元に向かう男。その名は津倉龍司、職業は大工。年齢26歳…しかしこの男、ただの大工ではない…人呼んでワークドマン。人に用意された能力の限界を打ち破り、さらなる力を衣服や道具に宿し、日夜社会のために戦い働く者達のことである!
「このアホがぁ!邪魔しに来たんなら帰れぇ!」
「す、すみません!すみません!」
「ったくよぉ…!4日目にもなったっていうのにまだ仕事が身につかんとは…適性のない奴を引き入れるなって津倉に言っといたのにまたこんな出来損ないを引き入れやがって…!」
「やる気あんのかぁ!?」
「はい!あ、あります!」
『オッチャーン、新人クンがまたなんかやったのか?」
「津倉ァ!」「津倉さん!」
「なんかやったのか…だぁ…?この惨劇を見てよくそんなことが言えるなぁ津倉よぉ!」
「はは…まぁまぁ落ち着いて」
「落ち着いてられるかってんだ!」
周りを見渡すと辺りに骨組みに使っていたはずの鉄骨が倒れ、その鉄骨が各種材料を押し潰している…
「確かにこれは落ち着いてられねぇなぁ…」
「おめぇのせいでもあるんだぞ津倉!」
「俺がこの子を引き入れちゃったから…?」
「そうだ!それ以外の理由があるかよ!」
「悪かったって!俺が直すからそれで機嫌治して、な?」
「まぁそれならいいけどよぉ…」
「おっし!決まり!新人クン!」
「はっはい!」
「俺の部屋行っといて!後で俺も行く!」
「?...わ、分かりました!」
「よし、てことで始めますかね…あんまり外で使いたくはねぇんだけど…」
「そんなこと言ってねぇでさっさとやれい!」
「はいはい…っと。」
「高速修繕の釘と…身体強化のワークを開始…さて…」
「ワークドマンとして、張り切って行きますか!」