エスカレート
太陽が情け容赦なく熱射を地上に叩き付けていた。
その暑い最中、11~2歳くらいの男の子が1人人気の無い公園で何かをしている。
「ふふふふふ
本当に黒い物は燃えるなぁー」
男の子は蟻の巣の回りにお菓子を撒き、お菓子を巣の中に運び入れようとしている蟻を虫メガネで1匹、1匹、焼き殺していた。
蟻を1匹、1匹焼き殺している男の子のところに仔猫が近寄って来る。
ニャア
「うん? お菓子が欲しいのかい? おいで」
仔猫の鼻先に掌に乗せたお菓子を差し出す。
お菓子を食べる仔猫を撫でながら独り言を呟く。
「この猫の黒い毛も燃えるかな?」
仔猫に差し出している手とは逆の手で近くに放り出していた捕虫網を掴み、お菓子に夢中な仔猫の上に被せる。
翌日男の子はまた公園で蟻を1匹、1匹、焼き殺していた。
そこに4~5歳くらいの幼女が近寄って来て声をかけて来る。
「おにいちゃん、クロちゃんみなかった?」
「クロちゃんって?」
「まっくろなねこちゃん。
きのうおそとにでかけてからかえってこないの」
「(この子の髪も黒いな、昨日の猫みたく燃えるかな?)
見ていないけど一緒に探してあげるよ」
「いっしょにさがしてくれるの?」
「うん」
「おにいちゃんありがとう」
公園の奥を指し示し声をかける。
「ここら辺にはいないみたいだから、向こうの方を探してみようよ」
声をかけながら幼女に手を差し出した。