チートの予感
今回は、次回への導入ということで、短めでお送りします。
期待してくれた方には申し訳ありませんが、チートはまだ先です。
あれから一週間。僕はとにかく仕事に精を出し、娯楽など一切せず、寝るとき以外はずっと仕事に関する事で頭がいっぱいだった。そして、週に一回の休日も、案の定軍人である上司と行動を共にし、時には一緒に射撃や狩りを楽しんだり、杯を交わすようになっていた。
およそ一ヶ月後の晩、無事に工事を終え、上司と最後の杯を交わしていた。
そのとき、僕はおもむろに切り出した。
「僕は、軍人になりたいんです。アルシオーネの軍人として戦いたい。」
「ルーテシアの帝国主義にはうんざりしているんです。この前も反戦勢力の首脳が処刑されました。ルーテシアは好戦的すぎて、僕には付いて行けません。」
そのとき、上司はニヤリと笑みを浮かべ、こう言った。
「実は俺、アルシオーネ公国の王族なんだよね。」
「!?!?!?」
当然僕は戸惑った。すると上司は続けた。
「俺は陸軍将軍だから、君が陸軍士官学校へ入学出来るよう、便宜を図ろう。」
「ありがとうございます!!!」
希望が見えた。僕のチート生活が始まる。