怪しいバイト
どうも、ゆきうさぎです。割とミリオタなんです。最近は槍とか剣の戦いにも興味があります。
この小説にもその影響が出るかもです。
「お世話になりました。」
僕は少年の両親に頭を下げ、少年宅を出た。
向かう先は冒険者ギルド。当面の衣食住を賄うべく、仕事の紹介をしてもらうためだ。
ギルドに入り、手近のギルド職員の人に仕事について聞いてみた。
得られた情報としては、冒険者ギルドでは肉体労働系の日雇い募集が主だそうだ。
しかし給料は苦労に見合った額の所が多く、それなりに生活は出来るらしい。
早速仕事をいくつか教えてもらった。その中でも一際気になったのは、
隣国アルシオーネでの仕事だ。職種は土木工事の作業員。
早速僕はこの仕事を受ける事にした。
忘れ物が無いか確認して、ギルドを出る。金がない関係で公共交通機関である相乗り馬車は使わず、徒歩で現地に向かった。
国境まで来たが、前の世界での朝鮮半島のような物々しさは無く、ただ看板が一本。
[ここより先、アルシオーネ公国]
ギルドでの説明によると、国境には関所等は無く、自由に往来できるらしい。
もちろん戦時は別だが。
ただ歩く事30分、村が見えてきた。道中誰にも会わなかったことから分かるように、栄えてはいない。村に入ると、そこには看板付きの長屋。
「アルシオーネ陸軍第一師団 前線司令部」
え?と思ったが、ギルドでもらった紙にも同じ文字が。
その瞬間、僕は全てを察した。
軍絡みということ、そしてこの場所の地理的な状態から察するに、この仕事、
恐らくは新たな陣地の構築作業だ。ここは国境よりやや高い位置にあり、狙撃に有利だ。
その上、この周辺は道路も整備されているおかげで、補給線の確保がしやすい。
どこかで分断されても、そこを迂回して補給が出来、前線の維持が可能だ。
恐らくはこの辺りに塹壕か砲台でも造るのだろう。
頑張ろう、と思った。日本での歴史の授業で帝国主義をよく思った事が無いからだ。
事実、周辺国から脅威と見なされる位にはルーテシアは凶暴らしい。
仕事で認めてもらえればアルシオーネ陸軍二等兵、位にはなれるだろう。
階級についてはよく知らないので適当だが、僕にはチートと言う名の武器があるのだ。
いち兵士にもなれないようじゃ、異世界チート物の主人公失格だ。