え!?え!?え!?
ユウト。一介の高校生だ。学校では自分で言うのもなんだが成績優秀で、
特に何も無い平凡な高校生活を送っていた。
あまりに平凡な日々に、ぶっちゃけ嫌気がさしていた。
しかしある日のこと、僕の前に自称『神』が降臨し、こう言った。
「君には異世界で救世主になってもらう。ついては、三つの物をこちらの世界から持ち込んでもらって構わない。そして、何でも三つ、君に特殊な能力を与えよう。」と。
もちろん、僕は即答した。「分かりました。」と。
自称神は、即答した僕に若干驚きながらも、明日の日の出までに三つの物と特殊能力を考えておくように。ちなみに向こうの世界はファンタジーだよ、と伝えた後、跡形も無く消えた。
明朝四時半。僕は自称神に持って行く三つの物として選んだ懐中電灯、防寒用のコート、ライターを自称神に見せて持ち込んで良いとの許可を取った。
そして三つの能力だが、
一、こちらの世界の人類の技術、知識を全て、永久に記憶し続ける能力。
二、民衆をまとめられるカリスマ性。
三、全ての言語を使いこなす能力。
これらの能力を向こうの世界で使えるように、自称神が僕の体に何か細工した後、魔方陣を
展開、僕は異世界に転移した。
「.............................」
僕は今、いかにもファンタジーな感じの服を着た少年少女数人に囲まれ、横になっていた。
そしてちょうど目を覚ました僕は、無言で見つめてくる彼、彼女らと対話を図ろうと
している。
「質問していいか?」
数分の沈黙を破り、そう発言したのは他でもない僕である。
「ああ、俺に答えられることなら。」
現地人の少年の了承も得た事だし、質問してみる事にする。
「まず、ここはどこで、どんな場所なのか、教えてくれ。」
「ここはルーテシア第一帝国の帝都、ルーテシアだ。お前の出身地はどこだ?」
なるほど、地名が分かったのは収穫だ。しかし、少年の質問には困った。
下手に堂々と出身地を明かせばどうなるか分かったものではない。
しかし身分証明もできないこの状況で出身地を隠すと、犯罪者か何かと誤解されそうだ。
そこで、僕は博打に出た。
「いいか、絶対に大声を出して驚いたりするな、それと、口外も無用だ。」
「おう、いいけど、もしかして兄さん、なんかヤバい奴なのか?」
ヤバい奴という少年の発言に若干傷つきながら僕は少年たち一行を集め、こう言った。
「僕は地球という異世界の国、日本から来た。」