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Shelter  作者: ネムレス
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第5話 「リサの思い」

私の名前はリサ。

シェルター内で自警団の炊事や洗濯を、ユイやレナたちと引き受けています。


あ、ユイやレナは私の友達です。

一緒にここに逃げてきました。

その時の私たちを助けてくれたのは、初代リーダーな訳ですが、そのよしみで手伝いをしています。

一見、普通の家事をしてそうですが、自警団ってこともあるのでちょっと違った場面もあります。



まずは洗濯!

洗濯は、外の有毒なガスが付いてる可能性があるので手袋とマスクをして特別な洗濯機で洗うなど、普通とちょっと違った風景が見られます。

なんか怪しいことしてるみたい。


次に炊事!

炊事は一般の人と大きく変わったところはありませんが、任されたこともあって当番の日は張り切って挑んでいますよ!

保存食などの加工食品ばかりなので、みんなが飽きないように一生懸命レシピを考えています。

栄養バランスにも気をつけてます。


空いた時間に子供の面倒を見たりなんかもする機会なんかもありますね。

私は4,5歳くらいの子たちを担当してます。

彼らはこのシェルターに来てから産まれた子たちです。

シェルター内には学校はないので、そのかわりみたいなものかな。


もう少し年齢が上の子たちは有志の人が勉強を教えたりします。

ここでは出来る事が限られているので、教える側、教えられる側のどちらも熱心です。

ほんとここって何もないんですよね。仕方ないんですけど。

子供たちから「ヒマー」の声をよく聞きます。

私もシェルター内での生活は退屈に感じていましたが、大型シェルターから追い出されたときにその有難さを身を持って知りました。



そしてこのシェルターでの生活が続けられているのは自警団のみんなのおかげです。


危険な外に出て、みんなが暮らせるように必要な物を拾ってきてくれる。

それがどんだけ大変なことか……。


そういえば、前回の物資補給から帰ってきたとき、青い髪の女の子を連れて来たんですよ!

私、驚きです!

どうやら密閉された食料庫で一人生き延びてたらしいのですが。

様子を伺いたいんですけれど、会わしてくれないんですよね。

外に長い間いたから病気がなんちゃら……って。

詳しい話を聞こうとしても、メンバーのみんな黙っちゃって。

どうやら帰ってくるまでに、口にしないよう決めたらしいです。


そしてそれを決めたリーダー。

ユートの事なんですけどね。

帰ってきてから機嫌が悪いんですよ。

ずっとイライラしてて、落ち着きがない様子。

特に酷かったときは、私が女の子の事を聞いたときですかね。

すっごい表情で「その話を俺にするな!」って怒鳴られちゃいまして……。

それはもう、本当に怖かったです。

初めてでしたね、あんなユート。



私とユートが出会ったのは高校生のときで、クラスがずっと一緒だったのをよく覚えてます。

そのときのイメージは普通の男子高校生って感じでした。

敷いて言えば、よく寝てるですね。

休み時間はずっと、下手したら放課後も寝てました。

それでも授業はマジメに受けてて、成績も良い方だったかな。

そんでもって運動できて、話を聞くのが上手かったので、クラスのわりと中心的な存在。

寝てるときが多いので、一部女子でクールだの、ミステリアスだの言われてましたっけ。

私はそう思わなかったですけど。


それから別の大学へ進学したので、詳しくは知らないですけど、楽いく大学生活を送れていたようです。

連絡は取り合ってましたが、久しぶりに会ったのは、隕石が衝突した日。

彼、目の前で家族を失ったそうで。

魂が抜けたようでした。

まあ、家族を失ったのは彼だけじゃないんですけどね。


隕石の直接的事故だけでなく、含まれていたガスでの中毒死。

中には全てを諦めて自殺した人も。

世界規模での超大災害。

人口が6割ほど減ったらしいです。


それからシェルターで飢えを凌ぐ生活。

政府から追い出されて、ここへ。

思えば大変な日々でした。

そしてこれからも。



私、知ってるんですよ!

外に出たメンバーが人を殺しているのを。

そうしないと生きてけないってのも!



最初はスーパーとかコンビニ、家から盗むだけでした。

でも、それだけでは足りず、軍の車が通るからそれから奪う事に。

私は反対しました。

でも、生きるには仕方ないんですよね。

そのときに私はメンバーから外させてもらいました。

友達のユイとレナも一緒に抜けたのですが、マオだけは別でした。

止めたけど、彼女は聞かなかったです。

「誰かがやらなきゃ、こんな世界じゃ生き残れないよ」

と言われました。

それからと言うのも、彼女は銃の使い方を誰よりも早く覚え、誰よりも上手くそれを扱いましたね。



もう昔の生活には戻れないんだなって、しみじみと感じました。



弱肉強食、それが摂理。


きっと、あの女の子も他の人から奪って生きていたに違いありません。

だから、みんなは女の子の過去を語らないようにしてるのでしょう。

そして、そんな現状に怒りを覚えて、ユートは機嫌が悪いのでしょう。

彼は優しいですから。

幼い子がこんなの事をしなければならないのに心を痛めていると思います。



悲しいな……。


ううん、ダメ!


私まで暗くなってたら迷惑かけちゃう。

みんなの世話役として、サポートしなきゃ!


今日は私が食事当番。

いつも以上に頑張っるぞ! オー!


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