一話
こんな世の中何も面白くない、そう思っていた俺はこれといってなにかがあるわけでもなくただ毎日を過ごしていた。
しかしある日ー俺の16歳の誕生日ー自室に戻ると、ソイツはいた。驚いて声が出なかった俺に、ソイツがいった言葉はーー「おめでとうございます!あなたは52代目の勇者に選ばれました!」
突然そんなことを言われても、何か気の利いた返しが出来るわけもなく俺が発した言葉はというと・・・「・・・は?」
この日から、俺、天童翼の人生は大きく動いていくのであった。
「まず話を聞かせてもらおうか・・・なんだって、この俺が勇者?頭大丈夫か?」俺がバカにしたようにそう言うと、
「突然のことに頭がついていってないのでしょうが大丈夫です!私が一からしっかり説明しますね、私は魔界の王ーつまり魔王の娘でルーシャといいます。そしてあなたが勇者になるためのお手伝いをさせていただきます!」自称魔王の娘らしいこの女はそう言った。
「勇者に選ばれた?なら俺は勇者らしく魔王の娘のお前を倒せばいいのか?」そういって俺が指を鳴らすと
「違います違います!!そんなのはもうとっくの昔に廃止されたんです!今の勇者の役目は・・・」そこで言葉を詰まらせると、一瞬顔を赤くしてから意を決したように俺の方をじっと見て「魔王の娘である私と、けっ、結婚するんです!」
「けっ、結婚!?」俺が驚くのも無理はないだろう。だって初対面の女から急に自分と結婚しろと言われたのだ。まぁ、こいつなかなかの美人なんだけどね・・・とは言ってもそんな急に話を進められても困る。
「な、なんで俺はお前と結婚する必要があるんだ?それこそ魔界の王子とでも結婚すればいいじゃないか・・・」俺がそう言うと
「いえ、昔から勇者は転生者と決まっているのです。そして、結婚しなければならない理由ーそれは、人類と魔族の平和のためです。大昔から戦い続けてきた私たちが戦いをやめたのが私の曾祖父の時代です。それからはお互いの平和のために魔王の子と人間の中から選ばれる勇者は結婚する決まりなのです。」 ーーー続く