prologue4
さて
後ろに幼馴染こと有紀がいるのはわかってる
けど
振り向けないというこの情けない状況
さっきから20秒も続いている
「・・・・あのさ、この人、ゆーら?」
この呼び方は、有紀だ
僕のことを本名で呼んでくれる数少ない一人
「チガウ」
「そうでしょ」
即、否定を否定されてしまった
「照れてんのよ。15でドーテーだから」
可菜が言う
「ドーテーは関係ない!照れてないし」
「うっそぉ。ドーテーなの?」
有紀のこの馬鹿にするような一言で頭にきて
「ドーテーは関係だろ!」
って言いながら思わず振り向いてしまった
三年ちょっとあってない有紀は、結構変わっていた
身長はあれからあんまり伸びてない
僕のことをチビチビ言ってたのが嘘みたいに小さい
そしてルックスは・・・やっぱちょっとかわいくなってた
(それでも接戦を制して吉田さんの勝利だが)
ただメイクが気に入らない・・・
スッピンのほうが絶対可愛いだろう
「ぶっ。でかっ。チョーウケルわ」
第一声がこれだった
でっかいのは見た最初から分かってただろ
と心の中でツッコんでみる
「やっぱりこの髪型がありえないと思うんスよ」
「そーだよねぇ」
妹からは散々批判を受けてきたこの髪型。僕としては結構気に入っていた
けど、第三者である有紀にそんなこといわれると、ちょっと傷つく
「そーかな・・・」
僕が自身を失った声でそういうと
「切ったほうが似合うぜ!多分」
と、有紀は励ましにも似た声で言ってくれた
そう言った事に多分、誰も気づいてなかった
そんなやり取りがあった後
「そーだ先輩!さっきお好み焼きやってる屋台があったんですよ」
「あーあたしも食べたいわ」
などと意気投合し、勝手に二人で人ごみの中に消えていった
そう、俺と坂本君を残して