1話「僕が魔法を!!」
「貴様、それでもここの生徒か?笑わせてくれる」
目の前の彼女は怒った表情で僕を睨みつけている。
その眼差しで僕はただ立ち尽くすことしかできなかった。
何もできない僕に彼女はこう言った。
「貴様のような弱いやつ、ここにいる資格はない。立ち去れ!」
彼女は僕に剣を振りかざした。
この経緯に至る1週間前
僕は平凡な高校1年生だった。
ある雨の日の放課後、僕はクラスメイトと教室で駄弁っていた。
「今日も学校終わった終わった~」
友達の一人が疲れた表情で言った。
「いつも放課後になると言ってんじゃん」
そうこいつはいつも放課後になると言っている。
これがいわゆる僕らの会話の始まり方である。
「そういえばあの噂知ってるか」
友達の一人が話題を出してきた。
「魔法の学校があるって噂」
僕は噂というものを信じてはいない
「もう少し興味持とうぜ!」
信じることができないのには理由がある。
昔の頃に嫌な思い出があるからだ。
だが友達として聞いておこうと思った。
「聞いてやる!だがら興味が持つように話してくれよ」
彼は蔓延の笑みでうなずいた。
「絶対に興味持つだろう!魔法使う学校があるって知ってるか?」
.......
僕は顔が固まった。
この時の僕の顔はひどかっただろう。
「あれ?なんでそんな顔してんだよ!魔法だぜ魔法!」
「魔法、そんなものがあるわけないだろ。アニメの見すぎだよ」
呆れたように話すと彼は絶対興味を持たせようと頑張って話を続ける
「夢あるじゃん!魔法なんてアニメやゲームのだけの話なんだぜ!噂でも嬉しいじゃんか!」
僕だって魔法に興味がないわけではない。
非科学的なことを噂だとしても絶対に起こるはずのないことを喜ぶなんて僕にはできなかった。
「そんなことで喜べるお前が羨ましいよ」
彼は口元に人差し指を置き、考えこんだ。
急に考え込んだ彼の肩に手を置いた。
「なぁ、また噂なんだが北海道のとある学校で授業中に水を掌から出した生徒がいて次の日から学校をやめたってあったみたいなんだよね」
僕はただの噂だからと思い噓だと言い切った。
「そんなのただの嘘だろ!そんなことが起きたらニュースになってるだろうし嘘だよ嘘!」
彼はまだ納得してないようで試してみようと言ってきた。
「なぁ、なんか試しにやってできるかやってみようぜ!」
僕は呆れた顔でできるはずがないと思いながらも手伝うことにした。
何をすればいいのかわからないのか彼は考え込んでいた。
そんな考え込んでいる彼に提案してみた。
「北海道の噂みたいに手に念じてみれば?」
彼はすぐに実行してみた。
「そうだなやってるみるよ」
はぁー
5分後、疲れ果てたのか手を降ろす彼
「やっぱ出ないや」
やっぱり非科学な物が現実で起きるはずがないのだ
だが彼は諦めなかった。
そして考えたのが指パッチンだった。
「そうだなんか指パッチンならできそう!」
正直僕はもう彼にはついて行けなかった。
少し帰りたくもなってきた。
「今度こそ出してやるぞ!魔法!!」
パッチン!!
大きな音が教室内に響いただけだった。
諦めたのか逆に僕にやってみるよう言ってきた。
「なぁ、俺は無理みたい。お前やってみろよ」
彼の悲しそうな顔を見ていたら
できないとわかりつつも試してみることにした。
「どうせできないけどやってみるか」
そういって
僕は指パッチンを行った。
「パッチン!」
その時だった。
ドーーンッ‼︎
外から凄まじい音が響きわたった。
僕たちは窓から外を覗き込んだ。
学校のグラウンドの真ん中に雷が落ちたみたいだった。
「お前もしかしてガチで魔法使えんのかよ」
信じれるわけがない
僕が魔法を出したわけがない
ただ天候のせいだと思い込んだ。
「なわけないだろ。天候が悪かっただけだよ。もう遅いし帰ろうぜ!」
僕は怖くなったのか。
急いで帰ろうとした。
彼も怖くなったのか帰る支度をし始めた。
「カタッ!」
教室の外から物音がした。
気になってすぐに外に出てみたが人の気配はなかった。