2個目
掲載日:2016/09/24
男は目を覚ました途端舌打ちをした。
「おい、お前何回目だと思ってるんだ?」
ベッドに腰掛けてた女は口に指を当て考えてから答えた。
「確か16回目かしら」
男はため息をついた。
「俺はそろそろゆっくり寝たいんだが」
「戦地に赴いては名誉の戦死をなさってる方のお言葉とは思えないわね」
「そんな俺が死ぬ度にご丁寧に蘇生してくださる女科学者さんにこれ位言ってもバチは当たらないだろ」
「決まってるじゃない。あなたなんかのお葬式になんて出たくないからよ」
「出ろとは言ってないぞ」
「私が出ないと思ってるの?」
男はまた大きなため息をついた。
今まで大人しく睨み合ってた2大強国が堪忍袋の緒が切れ戦争が始まってしまったなか、男のように戦死を遂げる人間は数え切れない程いた。
徴兵された男は、闘争心とは縁遠く、勲章なんて貰える腕もなかった。だから何度も致命傷を負って亡くなり、王国に送られてきた。
その骨から体格、外見、記憶に至るまで完全に蘇生しているのが彼女だった。もちろんそんな技術は王国の研究所が総動員しても出来るものではない、彼女にしか出来ない。
だから彼女は王国の監視の目をかい潜り、秘密裏に行っている。命に価値を見出せないこの男の命だけを、何度も何度も。




