表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

第9話 罠 

 《登場人物》


 長宗我部 博貴 警部   (長さん)

 入船  宗次郎 警部補  (ボウラー)

 河瀬 憲仁   巡査部長 (和尚)

 古村 俊    巡査部長 (シルバーマン)

 夏目 真彦   巡査長  (先生)

 田中 悠    巡査長  (アンジェリーナ)

 佐藤 蒼太   巡査長  (ブラッド)


    ペイン  爆弾犯

 - 同日 国道11号線 -




 和尚とシルバーマンの2人は、ブラッドとアンジェリーナ、この2人組のハッカーが調べ上げた爆弾犯ペインの情報を辿って、奴の拠点へと向かっていた。

 助手席で映像通話を介して、話を聞いている。相手は長。

『県警で爆破があったらしい』

 車は、和尚の運転によりに、綺麗に慎重に静かに、目的地へと向かっている。

 和尚が運転しながら反応している。助手席に座るシルバーマンはブラッドが添付して送ってきた地図を、カーナビ機能で表示させて、ナビゲーションの手伝いをしながら長と会話をしていく。

「ええ、警察に対しての挑戦状ではないかと、ラジオでは言ってましたよ」

『これで分かったのは、奴は一般人と犯罪者の境界線を越えた犯罪者だってことだな』

「1件目の時点で越えていましたがね」

『だろうな。まぁ、なんとしてでも止めないとまずいからな』

「そこを右だよ和尚。にしても……奴は一体何者なんでしょう? 電子警察の端末を逆に襲撃し、ぐちゃぐちゃしたわけですし」

 車はゆっくりと右へとカーブして、住宅街へと入る。

「あ、あれじゃないか?」

 和尚は、首と顎でシルバーマンに目的地が近いことを指し示した。

「警部。被疑者の拠点に近づいてきました。一旦、通話切ります」

『了解。奴に気をつけろよ。何をしてくるか分からないからな』

 通話ボタンを押して電話を切り、和尚はアクセルをしっかり踏み込んでいく。

 車は、大きな上り坂を軽く走りながら上がっていく。近づいていくと、カーナビで表示した目的地のポイントにたどり着いたことをナビゲーションが示す。

「ああ、あれだ」

 指し示した先は、古めのアパートだった。

「ここがか?」

「みたいだな。目的地点も丁度ここみたいだしね」

 車を動かして、アパートの駐車場に車を止め、2人の刑事は乗っていた車から降りる。

「で、犯人の個人情報は?」

 和尚は、シルバーマンに訊く。

「ああ、ペインの名前かい。奴の名前は、坂本遼馬だと」

 シルバーマンの言葉を聞いて、和尚はやれやれと深いため息をついた。

「やれやれ、偉人の名前かよ……」

「でも、漢字違いだね。だけど仮に、理由が日本を変える為に、やったのなら偉人の龍馬もそれなりの評価してくれるだろうけど、今のこのご時勢では、いい迷惑なんだよね」

「確かに、さてと、とっとと、しょっぴいてくるかね。ここの大家さんいるかな?」

 シルバーマンが先陣を切って、古ぼけたアパートの敷地に入っていく。和尚はその後を追う。

 アパートは、ドア数から確認して、4つ。1階と2階で分けられている。部屋の大きさは、窓とドアの間の感覚から見て、それなりに広い。だが、外装は築何十年も経っている事を証明しているのが理解できた。

 和尚は、郵便用ポストのところの住人の数を確認すると、大家らしき人物の名前ともう1件、坂本だけになっている。

「おい、シルバーマン。ここ変だな?」

 シルバーマンは、名札で《渡辺》と示されているドアのインターホンを鳴らす。

「みたいだね。住んでいるのは大家さん合わせて2人だけのようだし、ここを畳む予定じゃないのかな? すいませーん」

 するとドア越しで老人の声が聞こえた。

「はいはい」

 ドアが開き、一人のご老人がシルバーマン達の前に現れる。

「どなたですか?」

 老人の問いかけに対して和尚が胸ポケットから出した警察手帳を指し示し、シルバーマンもおもむろに手帳を取り出して老人に告げた。

「あっ、申し遅れました。我々、愛媛県警の者です。ここの大家さんですか?」

 大家は、いきなりの刑事2人の登場に焦りと不安と心配の落雷が脳裏で落ちる。

「ええ、そうですが……」

 手帳を片付けて、和尚が口を開く。

「ちょっとお伺いしたいんですがね。坂本遼馬さんがここのアパートに住んでいるとお聞きしましてね」

 それに対して、大家は疑問に思いながら、答えた。

「はぁ、坂本さんなら2階の左から2番目に住んでますよ」

「なるほど」

 和尚は頷いている。その隣でシルバーマンは、大家に対してある事をお願いしてみる。

「できたらですね。坂本さんに協力を受けておりまして部屋を見せていただけないでしょうか?」

 警察からの協力要請なら仕方ないと心中で感じ取った大家は心配性もこうじてか不安げな顔で承諾した。

「あ、はい。分かりました。ちょっと待ってくださいね。マスターキーとってきますから」

 すぐさまその言葉の後で奥のキーケースから坂本の部屋が開けられる鍵をとってくる。

「あ、大家さん。ゆっくりで構いませんよ」

 シルバーマンが大家に向けて一言返した時に和尚が言う。

「シルバーマン。俺、先に上がって見てくるわ」

「分かった」

 和尚は、シルバーマンの頷きを待たず、そのままアパートの階段に向かい、駆け上がっていく。

「ちょっと待ってくださいね。確かスペアキーがあったはずなんですよ。どこだったかな? どこだったかな?」

 鍵の行方を追う一人の老人を見て、シルバーマンは、軽くほっこりな感覚を覚えながらも、先に坂本の部屋に向かった和尚を思う。

 階段を駆け上がり、坂本が使っている部屋の玄関前に和尚は立った。

 軽く2、3回ノックをしてみた。でも反応がない。

「ああ、坂本さんなら今は旅行に行ってて、いませんよ」

 声のする方へ目を向けると、階段からシルバーマンとともに大家が上がってくる。

「旅行ですか?」

「ええ、なんか、関西の方に1週間ほど、旅行に……」

「坂本さんは、どういった方なんですか?」

 シルバーマンの質問を大家は答える。

「静かな人でしたよ。おとなしいというかなんというか。礼儀正しい人でしたけどねぇ」

「なるほど、礼儀正しい人ですか」

 大家は話を続けた。

「ええ。あとは、近くの大学の学生さんだとか。松谷大学ってところの学生さんらしくて、電子学について学んでいるとかいないとか……でもあんまり聞かないですねぇ」

「そうですか」

 和尚は後ろに下がり、大家にドアの鍵を開けてもらう。

「あっ、ちょっと待ってくださいね。はい開きましたよ」

 鍵を開けた後で、大家は軽く開いた事を示す様にドアを開ける。

「あとは何かご存知ではないですかね?」

「そうですね。あ、家賃をまとめて出してくれて、3ヶ月分だったかな? 先に出してくれたんですよ」

 シルバーマンは、大家に一言、礼を告げた。

「ありがとうございます。あっ、スイマセンが、ここからは、ちょっと捜査になりますので、後で鍵を返しに行きます」

 大家は、和尚の言葉を聞いて、大体の察しがつき、後ろに一歩引いた。

「分かりました。下にいますんで、終わったら呼んでくださいね」

 その言葉を告げた後で大家一階へと階段を降りていった。

 刑事2人は、大家の降りていく姿を確認した後で、坂本の部屋へと入る。

 部屋は簡素に置かれた家具。1人暮らしではよくある置き方。大学生ライフを満喫していたように思えたが、別の部屋に入るとそれは一変した。

 その部屋には大量の電子機器の部品と残骸が散らばっている。

「うへー。友達はいなさそうだったんだな」

 何か手がかりがないかと、和尚は、部屋の周りを見て回るが、《コレ!》と言えるような手がかりはまだ見つからない。

 残骸が散らばる部屋の中で、机に置かれた1台のノート型パソコンの画面が光った。

「なんだ? おい、和尚。これ」

 シルバーマンはゆっくりと近づいて、パソコンの画面を見つめる。

 デスクトップの背景色は、自分の姿が写るぐらいの黒。

「いきなり、電源が入ったんだ」

 不審と危機感を2人は感じた。和尚が部屋の辺りをくまなく見渡すと、ノート型パソコンのUSB接続部分に何かしらのコードが接続されていた。

 コードに沿って、和尚はゆっくりと視線を辿らせていくと、その先には、小さな立方体の様な箱があり、そこには小さな、光源の穴があり、赤外線が放たれている。

 シルバーマンは、どういうことか察しがつき、和尚に説明する。

「これがセンサーになってて、自動的にパソコンがついたわけだな」

「なるほど」

 センサーの後ろに備えられた接続口に2つ接続されているコードがある。1つは、パソコンに繋がったコード。そしてもう1つは、奥の物入れへとつながっていた。

 和尚はゆっくりと物入れの戸を開ける。

 そこには、金属の箱がただ一つ置かれているだけだった。

「箱?」

 反応と同時に、ノートパソコンの画面が変わり、画面は黒から赤になる。

「和尚、あれ!」

 シルバーマンの言葉を聞いて、和尚は視線をパソコンに向けると、画面からは時間表示が出ていた。



《00:01:00》



 そして時間表示のタイムは動き出す。



《00:00:59》



「この数字は!? 1分?」

 和尚は、急いで箱を調べる。箱の蓋を開けると、大量のダイナマイトの様な火薬とタイマーと配線。

 タイマーの時間表示は1秒1秒進んでいく。和尚はすべての状況について理解した。

「退避だ! 退避するぞ!」

 急いで、刑事2人は、坂本の部屋から退避する。

 出た時には30秒前となっていたのを和尚は確認した。外に出て、一階に降り、大家さんの部屋に向かう。

「大家さん!!」

 不思議そうに大家は2人を見つめた。

「どうしたんです? 終わったんですか?」

「早くそこから出てください!!」

 シルバーマンが大家を力づくで外に出す。

「ええ!? 何、なんなんですか!?」

 大家を引っ張り出して、急いで外へと出る。タイマーの時間は、残り10秒前。

 3人は急いでアパートの外に出て、建物から距離を稼いでいくが、タイマーは無情に過ぎていく。



《00:00:05》



《00:00:04》



《00:00:03》



 その間にも出来るだけ、アパートから離れ爆風の被害に遭わないように退避する。

 大家の足は限界に近かった。

「もうダメだ……」



《00:00:02》



《00:00:01》



《00:00:00》



 3人にその瞬間は起きる。大きな音を立てて、坂本の部屋から火炎流が起き、大きな爆音と衝撃が近所の住宅街で響く。

「うわっ!」

 衝撃と共に3人はアスファルトに伏せた。

 刑事の2人はアスファルトに伏せている大家を確認した後で、大きな衝撃音が発した先を振り向く。

 アパートは、坂本の部屋から火炎とその影響でほかの部屋にも飛び火しているのを確認した。

「消防を呼ばなくちゃいけなくなったな。シルバーマン」

 和尚は、自分の命がある事に天に向けて両手を合わせている。大家の間に挟んで、シルバーマンは、急いでポケットのスマートフォンを取り出した。

「ああ、長警部に連絡しないと……」




 タイムリミット19:00まで ―― 残り 4:00 ――




第9話でございます!! 今回は和尚とシルバーマンのコンビで展開していきましたね。次回はどうなっていくのか? お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ