第7話 状況説明
《登場人物》
長宗我部 博貴 警部 (長さん)
入船 宗次郎 警部補 (ボウラー)
河瀬 憲仁 巡査部長 (和尚)
古村 俊 巡査部長 (シルバーマン)
夏目 真彦 巡査長 (先生)
田中 悠 巡査長 (アンジェリーナ)
佐藤 蒼太 巡査長 (ブラッド)
ペイン 爆弾犯
― 同日 午後2時15分 国道11号線 ―
長は先生を助手席に乗せて、車を目的地に走らせる。車中では、和尚・シルバーマン組と、電子警察の職場にいるハッカー組と入船にスマフォを用いた映像通話を掛けていく。
スマフォの画面は、それぞれ映像画面の分割がなされ、それぞれのメンバーの映像が表示されている。 左上が和尚とシルバーマン。そして左下がハッカー組、右上画面がボウラーという3画面構成による映像通話を開始した。
開口一番は、運転している長。
「俺だ。皆、聞いてくれ。先ほどクラウドの爆破に関する者から直接、連絡があった」
反応したのは左上の画面に写る和尚だった。
『えっ!? 本当ですか?』
シルバーマンは、首の骨を軽く鳴らして、頷いている。
『なるほど……』
左上の画面に写っている和尚は、今、起きている緊迫した状況を肌で感じる。
とてつもなく大きな事件へと展開する可能性があるのではないか? いや、もう起きているのではないか? 心で事件の犯人に対する深い哀れを感じていた。
和尚の隣でシルバーマンの神妙な面持ちで長達が写る左上画面を見つめている。
『警部。連絡はどんな内容だったんですか?』
車を操作しながら話す為、長の表情はどこか無関心に見えたが、話す内容は簡潔且つきめ細かな説明だった。
「爆弾を仕掛けた。本物と偽物のそれぞれ1つずつだとよ。相手の名前は何かにちなんでペインとか名乗っていた」
ハッカー組が写る映像の奥から大きくボウラーの声が聞こえた。
『面倒なこって。現在、ブラッドとアンジェリーナには調べてもらってるよ』
「時間はどのぐらいだ?」
長の質問にパソコンを操作しながら、ブラッドがその答えを告げる。
『数分はかかるね。なんせ電話番号と名前ぐらいだからね。分かっているのは……』
「なるべく早くだな。ボウラー、爆弾処理班の手配をしてくれ。爆弾は赤い箱に包まれているらしいからそれも言っといてくれ。奴が送ってきた地図は、先生のスマフォから経由で送る。それとメンバー全員にも送っておくから、見といてくれ」
『了解した』
ボウラーは内線電話の受話器を取り、ダイヤルを押した。
長の隣で、夏目が、自分のスマフォで前もって送られてきたペインの地図を経由で送る。
左上画面のシルバーマンが長に尋ねた。
『犯人の要求とかは?』
長は、首を軽く鳴らしながら答える。
「それが今のところなしだ。急いで爆弾を止めろだと」
河瀬は、長の言葉に頷きながら、ハンドルを握って、アクセルを踏んだ。
運転する和尚の隣でシルバーマンが言葉を返す。
『なるほど、犯人が不明なわけですね。にしてもペインっていう名前を名乗ったんですか?』
「ああ」
先生がさりげなく呟いた。
「ネーミングセンスないですよね」
先生の呟きを隣で運転する長は、心中で反応しながら触れる事なく、電子警察隊員全員に向けて告げる。
「夜7時がゲームオーバーだ。あと4時間と45分しかない。爆破する前に、俺達で止めるぞ」
長の威厳のある言葉に、電子警察隊員全員の思いは同じ。
《必ず爆弾を止めて、犯人を捕まえる》この思いである。
『了解』
長はすぐに隊員に指示をしていく。
「和尚とシルバーマンは、ブラッド達から連絡を待ち、被疑者の居場所を見つけ次第、踏み込め」
シルバーマンは、ハッカー組に念を込めた。
『了解です。ブラッド、アンジェリーナ頼むぞ!』
それに対してのハッカー組はいつも通りの反応で返していく。
『任せてくれ!』
次にアンジェリーナ。
『必ず仕留めます』
『俺達は不死身の……』
2人の合言葉に長が間を割って言う。
「コンビだろ?」
『あ、長さん邪魔すんなよ。じゃあ、アンジェリーナ。取り掛かりますか?』
『そうですね。今度は私が援護を。ブレイクは任せましたよ。ブラッド』
『了解』
和尚は、やれやれと軽い気苦労を感じながらも薄めの微笑みで画面に写っていた。
ボウラーの声がスマフォのスピーカーから聞こえる。
『夏目が送ってきた地図と共に、爆弾処理班の手配をした。でも、この地域から探すのは、かなりの時間がいるな』
長はうっすら感じていた。
あの赤く囲まれた地図の円内は愛媛県内で言うと行政・経済の中枢。爆弾を見つけて解除に至るまでの工程に時間が掛かる事、都市部の真ん中の為に何より愛媛県民が多い。爆弾解除から松谷市民の避難に時間がかかる可能性があった。
「とにかく、この爆弾解除には、市民に気づかれない方がいいな」
ボウラーは、長の考えを前もって考えていたのか、それに沿った事を述べていく。
『ああ、それについてはなるだけ市民の不安を駆り立てないように、私服とスーツで向かわせた。爆弾処理の用具はトラックに乗せておけば問題はないけんな。ただ、時間内に見つかるかどうかなんだが……』
入船が写っている映像の後ろ側に座っているブラッドが声をかける。
『ボウラー! 今、長さんが言っていた、ペインって奴のアドレスに入れそうかも……』
その後で、アンジェリーナが言葉を付け足した。
『見つけましたよ。でも厄介な相手ですけどね。ちょっと手こずりましたよ』
『でかした!』
ボウラーの声の後で、長もこの2人組を褒める。
「流石、ハッカー組だな」
『いえいえ、それほどでも』
長は、少し和やかになった事を感じながらも時間は刻々と進んでいる事を思い、ブラッドに告げた。
「急いで特定にあたってくれ。だが、慎重に頼むぞ」
左下画面の女性が首で頷き、片方の男は、長の映像に向けてやる気に満ちた笑顔とサムズアップで反応している。
長はその映像を確認してから、丁度、信号が青になったのを見て、アクセルを踏んだ。
タイムリミット19:00まで ―― 残り 4:45 ――
第7話です。 ペインの狙いは、なんなのか? 果たして電子警察のメンバーは爆弾を見つけ、解除することができるのでしょうか?
乞うご期待ということで、話は続きます。
いつも読んで頂きありがとうございます。これからも宜しくお願いいたします。




