表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/30

第3話 捜査会議

 《登場人物》


 長宗我部 博貴  警部   (長さん)

 入船  宗次郎  警部補  (ボウラー)

 河瀬 憲仁    巡査部長 (和尚)

 古村 俊     巡査部長 (シルバーマン)

 夏目 真彦    巡査長  (先生)

 田中 悠     巡査長  (アンジェリーナ)

 佐藤 蒼太    巡査長  (ブラッド)


 


  ― 1時間後 電子警察の職場 ―



 現場から戻ってきた河瀬、古村、夏目の3人は、初対面の上司と挨拶と紹介を交わした。

「長宗我部だ。よろしく」

 河瀬は敬礼する。

「あ、長さんですね!」

 ギャップ感のある河瀬の反応に少々、戸惑いながら長は返す。

「警部な」

「長警部でいいですかね? 呼び名」

 綺麗な銀色をした短髪の古村が確認を取った。

 長宗我部は、首を縦に降って頷き、告げる。

「ああ、別に構わないぞ」

「河瀬です。ここでは、《和尚》って呼ばれてます」

 長は河瀬の言葉に首をかしげた。

「和尚?」

「寺の子なんですよ。僕」

 刑事の家が寺の子出身が多いって言うのはよく聞いたりしていたが、あながち間違いではないらしい。坊主頭の理由もなんとなく理解はでき、長は河瀬に言葉を返した。

「なるほど、ならばその髪型も理解できるよ」

 古村も自分のあだ名について言う。

「私は、髪がこれなんで《シルバーマン》って呼ばれてますわ」

 古村の特殊な髪色は、いわゆる病気の関係とも言うらしい。白色が薄くかかった銀髪である。警部は古村の頭を見て、理解した。

「なるほどね。夏目君もあるのかい?」

 長は古村に当てていた視線を次は夏目に当てる。

 報告書を書きながら夏目は軽い笑顔で答えた。

「私は《先生》って呼ばれてますね。この土地にゆかりのある夏目漱石と苗字が同じだから……でしたっけ? 警部補?」

「そうなのか?」

 夏目の言葉を聞いた入船は、ニコニコしながら、頷いている。

「らしいな。まぁよろしく。で、入船、もしかして職場全員にあだ名付いてんのか!?」

 さも当たり前のような顔をしながら入船は言った。

「え? そうじゃないのか? 長さん?」

 若干わざとらしい馴れ馴れしい呼び方に少々、イラついた長。

「さりげない呼び方やめろ」

 その2人の会話の間に、和尚が入り、入船のあだ名について長に告げた。

「あ、ちなみに警部補は、《ボウラー》ですよ」

「えっ? 何で?」

「ボールゲームが強いんですよね警部補。ビリヤードもボウリングも……」

 長は振り返って、入船の方に視線を向ける。

「そうなのか?」

「ああ、そうなんよね。あれやったら今度、勝負するか? ボールゲーム」

 勝ち誇った様な顔で、入船は長を見つめるが、すぐさま首を横に振り拒否をする。

「いや、いい。今はそんな気になれん」

時間は既に、30分過ぎ、ボウラーは時計を確認してから、自分の机に座った。

「さて時間だ。会議を始めよう」

『はい!』

 警部補の合図で、電子警察のメンバーはそれぞれの机に座って、ホログラムに視線を向けていく。

「長さん、こうやってやればいい。この職場は今日からあんたがリーダーだ。いいな?」

 いきなりの入船の口から出た交代宣言に戸惑いながらも、これから勤務先のリーダーになるわけで、背中から大きな重荷がついた様な気がした。

「分かった。では始めよう」

 職場の重々しい空気が漂う。

 異動1日目から初めて長は、事件を捜査するわけで、ある程度の緊張は自身も感じていた。

 彼は自分のデスクへと向かい、ゆったりとしたデザインの椅子に腰と背中を預けている。

「事件について説明を。ボウラー」

 事件の概要を入船は、説明し始める。

「了解、今回の事件は、国道11号線沿いのスーパー八雲で起きた。1ヶ月前に発売された新型自動車クラウドが突如爆破を越し周りに停めていた車数台と数名の害者を出した。幸い死亡者はいなかったが、車に近づいた所有者が爆風を受けて負傷し、一時、心肺停止状態の意識不明に陥った。幸い命はとりとめたがね」

 河瀬がタッチ連動したキーボードで、ホログラムプロジェクターに、映像をスライドさせて、別の画面を表示する。

「これを見てください」

 プロジェクターの画面には、爆破が起きた車の所有者についての情報が表示される。

「爆破したクラウドの所有者です。名前は淀川保治 株式会社ヨドガワの元社長現在は相談役になっています。現在は爆破による影響で、言語野に障害を受けて、今もなお入院中です」

「ついてないな。自分の車が爆破した上に、入院までするなんてな」

 長は話を聞きながら、淹れた冷や麦茶を、口へと軽く注いでいく。

「本当に、なんと言えばいいか……。で、次の映像を。アンジェリーナ」

「ホログラムに表示します」

 アンジェリーナはキーボードで打ち込み、職場の真ん中にあるプロジェクターに映像を表示させた。

「この映像は、爆破当時に起きた現場の様子です」

 ブラッドが続けて説明を加えていく。

「で、今、所有者の男性が車に近づいた時に、大きな爆破を起こしたってわけ」

「ふむ……。このカメラの映像、遅くできるか?」

「ああ、任せて」

 ブラッドは手馴れた手つきで、映像を操作し、表示し、駐車場のカメラ映像が0.1秒ずつ動く。

 長は映像を繰り返して再生されているのをよく見てみる。それについて、シルバーマンが、説明をした。

「店から出た害者はゆっくりとクラウドに近づいていきます」

 彼の説明通り、淀川がゆっくりとクラウドに近づいているのが映像で表示されている。

 そのまま彼は、説明を続けた。

「丁度、数メートル、害者が近づいた瞬間……」

 説明と同時に映像から映し出される独特な火の色、爆破の一部始終はひどいものであった。

「大きな爆発が起き、現場一面、テロ事件の様な残状だったと考えられます」

 続いて、先生が、現場の状況について説明していく。

「で、爆破が起きる前の映像を……」

 ブラッドは軽く首で反応して映像を操作する。

「爆破が起きる前の映像です。これが10分してクラウドが爆破したポイントに停まります。ここで所有者が降りてスーパーへと向かいます」

 長はじっと映像を見つめている。

「この間、何もトラブルは起きていないか」

「ええ、これから早送りで映像を爆破した瞬間まで、進めてもらいます。ブラッド君」

「へいよー」

 映像が早く進む。カメラのタイマーが早く進んでいくのが見えた。

「5分経過しました。クラウドには誰も近づいてないですね」

 刻々とタイマーが時間経過を知らせていく。

「これで7分が経ちましたね。ここで害者がゆっくりと車に向かってきます」

 長は、どこか違和感を覚えるが、全員、感づいている。

「おかしいな。車には誰も近づいていなかったな。って事は、ここに来る前に仕掛けられていたって事になるな」

「可能性は十分あり得るかもな」

 入船はそう言って、コーヒーを自分の口にゆっくりと注いでいく。

 和尚が何かに気づいたらしく、スクリーンを示した。

「あ、ちょっと待って、映像少し戻してくれない?」

 ブラッドのタイピング音が聞こえる。

 映像が巻き戻され淀川がクラウドに近づく瞬間までの映像が再び、流れ始める。

「出来たら所有者の画像を拡大できないかな?」

「お安い御用ですよ」

 アンジェリーナが所有者の映像を拡大表示した。

 拡大表示された瞬間、長は所有者の画像を良く見つめる。何かを気付いたのか、長は、映像に向けて指を示す。

「ん? おい。あれ」

 銀縁の遠近両用レンズのメガネを軽く持ち上げながらボウラーは、映像を見つめている。

 他のメンバーもよく凝らしてみる。

「ん? ちょっと害者の左手を拡大してもらえないかな?」

 ブラッドは言われた通りに、画像を拡大。

 夏目が何かを感じたのか声を上げる。

「これは、鍵ですね」

 長と入船は、頷き、映像のキーホルダーを確認した。

 キーホルダーは黒目の楕円形。バッジの様な形をしている。

「確かに、鍵っぽいものが見えるな」

「もしかして……」

 夏目が、クラウドの製品についての情報をかき集める為に、パソコンのキーボードを優しく打ち込んでいく。

「クラウドの紹介画像をプロジェクターに写します」

 表示された映像は、最新車両クラウドの紹介。

「この車の鍵は、特定の暗号数列による電子配列で車の鍵がロックされたり開錠されたりする。電子ロックシステムを採用していますね」

 長は、顎の無精ひげをさすりながら画像を見ている。和尚は首をかしげていた。その隣の机でシルバーマンは、話を聞きながら、少々理解しているが、ついていけてない模様。

 理解したのはハッカー組と入船だけ。

「なるほど! 爆弾は電子ロックの開錠と共に起動した可能性があるという事か!?」

「なるほどこれは捜査に、必要な情報かもしれんな。すぐに捜査一課に連絡しよう」

 長はすぐさま、パソコンと連動した電話機の受話器を取ろうとした時、それ見たアンジェリーナは、長を止める。

「あ、警部。その必要はないらしいですよ」

「ん? どうして」

「捜査一課の渡部管理官がいらっしゃいましたからね」

 アンジェリーナの言葉と同時に、電子警察の出入り口の自動ドアが開き、白髪交じりのオールバック中年太りの男性が現れた。

「失礼。電子警察の責任者。長宗我部 博貴警部はいるかね?」

 彼の言葉を聞いて、長は立ち上がり、軽く挨拶をする。

「失礼します。私です」

「君か。私が捜査一課の管理官の渡部だ。以後、お見知りおきを……。実はこれを持ってきた」

 と渡部は持っていた白い紙を、警部に手渡した。

「これは?」

 管理官の威厳のある声が電子警察職場内に響く。



『只今を持って、捜査一課は電子警察の捜査支援的行動を執る今回の爆破事件は電子警察の案件として、認められたものとされる。今後の捜査員の指揮権は現電子警察実働隊隊長、長宗我部 博貴 警部が指揮を執る。また通常テロの可能性がある為、公安部との捜査権はいずれも対等であると考えされたし』



「以上だ。長宗我部警部、君には期待している。頑張ってくれ」

 渡部は軽い威厳のある笑みをこぼし、職場を後にする。渡部が出て行く間、電子警察のメンバー全員が敬礼で管理官を見送った。

 嵐が過ぎ去った様な気持ちが長は心で感じている。数秒の沈黙の後で警部は動き始めた。

「よし。捜査開始だ!」

 メンバー全員、警部の声に答える。

『了解!!』

 

第3話 電子警察です。今回は、電子警察の課員が登場しますね。さぁ、次回の話は事件の捜査に入りますよ。


話は続きます!! ではでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ