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第21話 向かう先へ

《登場人物》


 長宗我部 博貴 警部   (長さん)

 入船  宗次郎 警部補  (ボウラー)

 河瀬 憲仁   巡査部長 (和尚)

 古村 俊    巡査部長 (シルバーマン)

 夏目 真彦   巡査長  (先生)

 田中 悠    巡査長  (アンジェリーナ)

 佐藤 蒼太   巡査長  (ブラッド)


    ペイン  爆弾魔

 ― 午後5時 ―



 市内電車は松前町に向けて、車輪と線路の摩擦を発しながら線内の駅を巡回していく。そんな電車内で、ペインは、長の運命を確認した。

「爆破したか……」

 ペインの心の中は、笑い声が漏れることはなく、ただただ残念に感じている。片手に持っているスマートフォンからは小さく音声が漏れていた。

『只今、電話に出ることができません……』

 電話をかけた相手は勿論、長宗我部だったが、一向に出る気配は全くなく、最後の最後で女性のオペレーターの録音音声がペインの左耳に響き渡っている。

 とても虚しい。自分を止める事ができる人間の存在が簡単に崩れ去ってしまった。

 もはや自分の独壇場と化してしまった事を感じる。せっかくのゲームプレイヤーがいなくなってしまったのでは、丹精込めて作ったゲームもただの機械仕掛けの爆破コンテンツとなってしまう。

 あとは恐怖をもう一回、煽って止めれる存在を探すか、もう終わりにしてしめやかに、このゲームを終幕させるか……

 いいや。ペインの心にはその選択肢はない。それは松谷市民に対して、いや、愛媛県民に対して恐怖の煽りができていないからだ。

 実質そうだ。以前に爆破した奴も全部、松谷市民に恐怖煽ったものではなくなってしまっている。それに爆弾のほとんどが電子警察のメンバーがいる所に落とした物だが、結局は市民に知られず呑気に切らしている光景が目に浮かぶ結果となった。 

 爆弾自体と自分の存在と効力が、警察の奴らによってかき消されているのではないかという心配も出てきているのは間違いない。

 だが、その心配ももうじき薄れて、ペイン自身のどこかの記憶の彼方へ忘却となるだろう。

 実質、緊急記者会見も行われ、長宗我部も止めることができなかった爆弾でより、自分の存在の脅威を知らしめることができたはずだと予見していた。

 仕上げも近くなってきた。電車がペインの目的地へと近づいているのを理解している。車掌の案内が車内で響く。

『次は、松前町古泉―。松前町古泉です。ドアは左側です。お忘れ物のないよう、お気を付けください。ご乗車ありがとうございました』

「時間だ」

 ペインは不敵な笑みをこぼしていた。




― 午後5時 ―


 

 ペインの住んでいる本拠地と呼べる場所を入船は、ブラッドの示した情報で突き止めた。

「ここやな。お願いします」

 管理人に頼みマスターキーでドアを開錠してもらった。

「どうぞ。終わったら呼んでください」

「ありがとうございます」

 管理人は元の職場へと戻っていく。

 入船は、スーツのポケットに突っこんでいたナイロン手袋を両手にはめて、爆弾魔がいた部屋へと入っていく。

 中は電子学部生らしく器具やパソコンの部品やディスクなどが散乱していた。

 片付けはそれほどしていなかったのが、見て理解できるほどであった。

「散らかってんなぁ」

 色々物色して見たが、一向に何かしらの手掛かりになれると言える物は見つからない。

 どんどん、部屋の奥へと入っていき、入船は机を見つめてみた。机の上にパソコンが置いてあり、青く光っている。

 電源はつけたままの状態。好奇心と捜査の一環という事を重ねながらパソコンを触ってみた。

 パソコンはスリープモードを解け、画面がより鮮明に光る。

「うおっ!? まぶしいな」

 入船は、部屋の電灯のスイッチを探してつけて、部屋の明かりをパソコンの光によって自分の目が負けない様に明るくした。

 パソコンの画面には、何処かで見た事のあるオンラインゲームが表示されていた。

「これは……もしかして」


 《フリー》


 

 ブラッドとアンジェリーナのカップルがいつも休憩中にやっているゲーム。

 入船はそれを起動し、ユーザーの情報や、アバタープレイヤー情報、ネットゲーム世界の友人リスト、ゲームの世界でのペインという男について調べる。

 手がかりはなかったが、ゲームの中の一言コメントに、犯行声明文の類が書かれているのが分かった。



《今日、何処かを爆破します。なるだけ人の多い所、最近新しくできたレジャー施設とかを……》



 入船は自分の土地勘とそれまでの愛媛県の地域時事と愛媛県のレジャー情報を整理してみる。ただ2つ当てはまる場所があった。

 1つは大街道。そしてもう1つは、クイーンアイランドという施設。ネーミングセンスがない松谷市長が命名した場所である。

 現時点の考えで推理して導き出せる答えは1つだけだった。

「クイーンアイランドか」

 入船は急いで部屋を出て、自分の車を止めてある駐車場へと向かい、管理人室で業務をこなしている男性に一言だけ告げた。

「すんません。あの部屋に誰も入らせないようにしてください」

「何かあったんですか?」

「今から、署員、何名かそちらに呼びますので……ちょっと吸いません」

 入船は、電話をかける相手は長宗我部。しかし何秒待っても反応はなかった。

「はよかかれ! はよかかってくれ!」

 無反応。携帯をしまい、仕方なく、他の署員を呼ぶ連絡をし、入船はすぐさま自分の車を停めている駐車場へと走った。

 入船は車に乗り込み、シートベルトを締め、インカムを付ける。

 ナビを設定し、目的地へ向かう為のマップを表示させた。

 《クイーンアイランド》

 


第21話です。だいぶ期間が空いてしまいましたね。話は続いていきます!


ではでは、次回をお楽しみに!

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