悪いけどラブラブ。
うふふ、可愛かったなぁ‥‥
今日は誠くんが誠ちゃんということが判明したのを良いことに、さっそくスカートをはかせてみた。スカートをはいた誠ちゃんは、すーすーして恥ずかしいよう‥と言っていた。
なんだか男の子に女装させてるようで興奮したのは私の人生の汚点になると思う。
鷹司くんは誠ちゃんだということを知っていたようで‥まぁ普通しってるよなぁ。だがスカート姿を始めてみたのか異様なものをみる目つきで見ていた。
そんな二人と手を繋ぎながら幼稚園に送り届け、教室に入ったとき、それは訪れた。入った瞬間、ふわりと苺のような香りがしたのだ。
「はーなちゃん、おはよっ」
「‥お、おはようございまーす。」
教室の入り口の近くで待っていた彩乃ちゃんが手を後ろに回して、少し前屈みになり私の顔を覗き込みながら挨拶してきた。朝からそのあざとい挨拶をしてくるとは、私の目を溶かすきなんですかね?
‥なんというか、彩乃ちゃんは前よりもくっついてくるようになった。前学校にいたときはそんなにくっついてこなかったのになぁ‥‥そうそう、彩乃ちゃんとの高校生活といえばー
『花ちゃん、今日寒いねー‥』
『本当だねぇ‥‥彩乃ちゃん手袋してこなかったの?』
マフラーに顔を埋めながら鼻を少し赤くして、はーっと白い息を吐いて両手を暖めている彩乃ちゃん。大丈夫かなぁ‥彩乃ちゃんに何かあったら大変だ。
彩乃ちゃんはマフラーをしていない私の方を見て、羨ましげにジト目でこちらを見る。ジト目も超可愛いどうしよう。
『‥花ちゃん、なんでマフラーとか手袋もしてないの?見てるこっちが寒くなりそうだよ‥‥?』
『ああ、私昔から体温高いみたいでね?だから防寒具とかつけたら逆に熱くなっちゃってさー‥』
『ふーん‥‥えいっ』
急にヒヤッとしたと思ったら、彩乃ちゃんの両手が私の首に当てられていた。かなり冷たくて、私の首の体温が吸い取られていくようだ。彩乃ちゃんは私の首で暖をとっているらしく、あったかーい、とにこにこ笑いながらすりすりしてくるので、少しくすぐったい。
充分暖をとったのか、彩乃ちゃんの手が離れていく。その手は定位置に戻るのかと思いきや、今度は私の手をさらっていった。
その手を彩乃ちゃんは自分の頬にあて、にっこり笑う。
『花ちゃん‥手も暖かいんだね。』
『手が暖かい奴は心が冷たいって言うよな。』
‥‥わかっている、わかっているよ、イチャイチャしてた私たちを妬ましく思ってしまったんだね、ジェラシーチャラ男。
そのままスタスタ歩いていくチャラ男をポカーンとした顔で見送る彩乃ちゃんと生暖かいかわいそうなものを見る目で見送る私。‥‥チャラ男、強く生きろよ。
『‥彩乃ちゃん、良かったら家まで送ろうか?』
『えっ、いいよ、だって私の家と花ちゃんの家近くないし‥‥』
『いいの、私が送りたいからさ。』
『花ちゃん‥‥ありがとう!』
寒くて薄暗い日に、私達は手を繋いだまま帰り道を歩いたのだった。
‥‥‥なぜ今まで気付かなかった私!イチャイチャしてんじゃねぇか!思いっきり初々しい恋人たちをやってるじゃないかよ!
危うく白眼を向いて気を失いたい衝動に駆られたが彩乃ちゃんの目の前で倒れるわけにはいけない‥‥別に自意識過剰なわけではないが、今倒れたら彩乃ちゃんにマウストゥーマウスされてしまう気がするのだ。
席に座った私をしゃがみこみ、少し机から顔を出している彩乃ちゃん。なにやら顔が赤い嫌な予感しかしない。
「ねね、花ちゃん‥‥ラブレター、読んでくれた?」
「は、はは‥うん、もちろんだよ。」
‥帰った後、コンビニに行く前、私はお風呂上がりに彩乃ちゃんからのラブレターを読んだ。可愛らしいレースに縁取られたピンク色の封筒を、私は開けた。パンドラの箱を開けた気分だった。
中の内容はー‥プライバシー保護のため言わないでおくが、私を好きになった経緯や、私の忘れているようなエピソードなど、私への思いがつづられていた。ーそして、私は確信せざるをえなかった。
ーあ、彩乃ちゃん本気だわ、めっちゃ本気だわ。ヒマラヤほどの消しゴムなんてあるはずないのに探そうとした近所の男の子ぐらい本気だわ。
‥そのラブレターを読んだ私は、軽いめまいを覚えながら気分転換にコンビニに向かうことにしたんだった。
ーそして問題は目をキラキラさせながら、待てをされたチワワのような顔で返事を待つ彩乃ちゃんである。
私はどうにかして、返事をせずに断りながら彩乃ちゃんをかわさなければならない。このときの私は思考を巡らせまくった。
何故リア充と非リア充に別れるのか、そしてその次には不公平を理解し、受け入れられ私が地球に生まれたことを感謝した。地球ありがとう!そして、宇宙の神秘を理解ー思想になったところでどうするか決めた。
私は、微妙に悟りを開いたことによって正常な判断を出来なくなっていた。私は賭けをしたのだ。
「彩乃ちゃん、私は宇宙意志の関係で二十五歳までは清き身を貫くことになっている。」
「え、ええっ?!そうなの?」
私は顔に陰を作り、いかにもそれっぽく肘を机につき、両手をくんだ。
重々しく、彩乃ちゃんを見つめながら口を開いく。
「‥だから、彩乃ちゃん‥‥もしも、その時まだ私のことが好きなら‥もう一度返事を返しても良い‥‥?」
「花ちゃん‥よくわからないけど、大変なんだね、わかったよ。」
こくこくと深刻な顔をしながら頷く彩乃ちゃん。‥よし、なんかわかんないけどごまかせたぞ!
これであと‥七年は安全かな。まぁどうせ七年もあったら彩乃ちゃんも忘れるだろうけどねぇ‥‥それはそれで寂しいような‥‥
「あっ、そうだ花ちゃん!私ね、もう彩乃ちゃんのことお父さんとお母さんに話してあるんだ!‥今は反対されてるけど‥‥でも、必ず説得してみせるからね‥‥!」
「あ、そ、そうなんだ‥‥」
‥や、やっぱり、三十歳ぐらいにした方がよかったのかな‥‥‥
‥が、ガールズラブタグを入れた方がいいですね‥でも女の子のイチャイチャかくのたのすぃー(*´ω`*)