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ヒロインが来るならヒーローも。

あの後、彩乃ちゃんと一緒に授業を受けた。あの騒動を見ていた人達からの視線は痛かった。さらに彩乃ちゃんが机の下で手を握って来ようとするからさらに後ろの男子からの視線がつらかった。


なにが一番嫌かって‥彩乃ちゃんの手をふりほどけないチキンな私が一番嫌です。


終始彩乃ちゃんのあつーい視線を浴びながら授業を終えて、それは放課後におこったー


「花ちゃん、一緒に帰ろ?」


「お、おふ、いいいけど、弟たち迎えに行くんだな。」


「花ちゃん、弟いたの?!もちろんいいよ!」


私気持ち悪すぎるでしょ、でもそんな私に笑いかけられる彩乃ちゃん天使。

自然と手を握ってこようとする彩乃ちゃんを自然に手を振るふりをして、逃れようとしたがだめだった。むしろ両手で腕をだいしゅきホールドされてしまいました。


花ちゃん、花ちゃんと肩に顔をスリスリしてくる彩乃ちゃんの鼻息が荒い気がしてきた。HAHAHA☆気のせいに決まってるよね、ね?


私は廊下の人たちからの熱い視線を受けて、その廊下を後にした。


靴を履いて、外にでる。その時なぜかラブレターがあってテンションが上がったが、手にとって裏返したところ丸っこくて可愛い字であやの(はーと)と書いてあったので無言でバックにしまった。


横で返事聞かせてね?なんて彩乃ちゃん‥ん、んん、一応読みますよ、一応ね?


敷地内の幼稚園に向かって歩く、いまだに彩乃ちゃんは離れない。


幼稚園が見えてくると、ちらほら迎えに来てる人たちがいるようだ。その中に見覚えのある人物がいたような気がして、目を凝らす。‥‥おかしいな、思い当たるんだけど、認めたくない自分がいる。


「あれ?!松田君!?なんでいるの?」


‥上でか‥‥てことはまだそんなに好感度は高くないのかな?


松田善。それが奴の名前である、言わずもがな攻略対象で、温和な性格の生徒会長である。最初は俺様じゃない生徒会長なんて珍しいなーと、思い印象に残ったものだ。‥そう思ったのが間違いだったりする。


コイツは、ピュアブラック‥純黒だ。


温和ではあるのだが、人がグサッとくるところを的確についてくる。無自覚で。

温和ではあるのだが、いつの間にか脅すような事を言ってることがある。無自覚で。


優しいには優しいのだが、なんだか、くせ者という感じだ。好感度が上がってからもこの感じは変わらなく、言葉は甘くなるがその後落としてくる。あげて落とすというやつだ。


ある意味、この人が一番のドSなのではないかとネットでいくつもの論争があった。


「あれ、奇遇だねぇお二人さん。びっくりしたよ、二人ともいなくなっちゃうし。」


手をひらひらふって、ほんわりと笑顔を浮かべる松田君。わ、私は騙されないぞ。


彩乃ちゃんは私にくっついたままそうだねー松田君もお迎えなの?とほわほわしながら聞いている‥見てる分には‥眼福です。


「いや、僕しばらくこの幼稚園で働くんだぁー。」


‥な、なんだってー!!


え、なんでだよ、勉強しなよ、なんで働くの?アルバイトですか?いやいや無理だよ、それ以前にこの松田君には必要ないはずだし、良い大学行って、親の跡を継ぐっていつも言ってなかったっけ?


「へぇ、そうなの。じゃあ私もこれから毎日花ちゃんと一緒に幼稚園くるから、来たら会えるね!」


おいおいベイビー、いつ一緒に毎日行くって決まったのかな?わけがわからないよ。

まぁ、断れないけどね?


「うん、そうだねー‥あ、お花ちゃんもよろしくねー?」


「は、はい。よろしくおねがいしまふ。」


「まふ、だってー花ちゃん可愛いー。」


うふふーと笑ってキラキラした笑顔をこっちに向けてくる‥‥もう難しいこと考えないでさ、結婚してお嫁さんにもらってしまおうか。


どこかで自由恋愛が可能で結婚できるとこが合ったような‥‥と考えていると私を呼ぶ声が聞こえた。


「おーい、お姉ちゃん!」


トゥンク‥‥あっと、ときめいてしまった。これだからロリコンショタコンは、キラキラフィルターがかかってるように見えてしまう目を眼科に行ったら治せるのだろうか‥‥。


近くに行くと、誠くんと鷹司くんの後ろにいた先生がにこにこして話しかけてきた。


「二人とも、お友達ができたみたいですよ、鷹司くんは中でお絵描きして、お絵描き仲間を見つけたみたいで。誠ちゃんの方はお外で仲良く砂遊びをしてましたよ。」


「誠ちゃん‥‥?」


あれ、誠くんって呼ばないのかな?誠くんはきょとん、とした顔をしていた。よく見ると服が変わっているような‥‥


「ああ、私もびっくりしたんですよ。砂遊びしてたら泥水被っちゃって、それで着替えさせたとき知ったんです、誠ちゃん、女の子だったんですね。」


‥‥‥‥なんだってーーー!!!!


え、まって、そうなの?誠くんじゃないの、女の子だったの?でも自分のこと僕って言ってるんだよ?男の子じゃないの?


完全に男の子だと思ってた‥‥!ああ、それを見抜けなかったなんて一生の不覚だよ、誠く‥‥誠ちゃんに合わせる顔がないよ!


でも、女の子って事はちゃんと一人称とか直させた方がいいのかなぁ‥‥


「‥お姉ちゃん、具合悪いの?‥僕がいたいのとんでけしてあげようか?」


僕っ娘おいすぃーでふ。


うん、もう直さなくてもいーんじゃないかなーあれだよね、やっぱり個人の個性だし、それを潰すなんてできないし?別に私が僕っ娘美味しいなぁとか思ったからじゃないよ?ほんとだよ?


「‥誠ちゃん?お家帰ったら一緒にお風呂入ろうね。」


「うん、いいよー」


あ、誠ちゃんって呼ばれても抵抗しないみたい、本当に女の子なんだね‥‥


そういえば、さっきから鷹司くんが喋らないなぁーと鷹司くんの方を見ると、私の横にいる彩乃ちゃんを見ている。


「‥‥だれなの、あんた。」


「あ、鷹司くん、この子は私の友達でね、彩乃ちゃんって言うんだ。」


「‥わかった。」


私の友達、という言葉を聞いてホッとしたようだ、睨みつけていた目を少しゆるめる。


彩乃ちゃんはなにやら、友達という言葉に不満を抱いているようだ‥友達以外になにがあるっていうんですかねー?


「へー、お花ちゃん、兄弟いたんだー?知らなかったなぁ‥随分懐いてるね?」


「あ、うん。私も昨日知ったばっかりなんですけどねー懐いてくれてるみたいです。」


なんでこんなにフレンドリーなのかは、あんまり考えたくはないが、所詮、ゲームのキャラクターだからということなのか。


それを考えると悲しくなるが、この世界はすでにゲームとして機能しなくなっているはずだ。だから、あんまり心配することはないと思うが‥‥


「ところで、なんでこの幼稚園で働くことになったの?」


「あれー?知らなかったの?こことあっちは姉妹校なんだよ、だからここに来て体験させてもらってるの。売店とか、食堂とか、下級生の先生とか幼稚園の先生とかね?多分、あいつらも来るんじゃないかなぁ‥‥」



まって‥何、彩乃ちゃんが嫁入りしてきて、なぜか幼稚園で松田君が働くことになってて、それでもって誠くんが誠ちゃんで、挙げ句の果てにまだこの高校に攻略対象がくるだとぉ?


‥‥どうやら、乙女ゲームは早々に私を逃してはくれないらしい。


彩乃ちゃん、私じゃなくてヒーローを攻略しませんか?







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