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aiolos(アイオロス)  作者: つるけいこ
プロローグ
1/89

プロローグ 王

「陛下、いかがなされました」

 ゆったりとしたローブを羽織った青年が、怪訝な顔で尋ねる。

 白大理石の柱に囲まれた室内。立ち並ぶ柱の隙間という隙間から、春の日差しがほしいままにふるまう。

 床に整然と敷き詰められたタイルも、青年の衣服も、全て白一色――その中にあって、紅や碧の宝石の散りばめられた玉座だけが、唯一強烈な色彩を放っていた。

「この国に闇が迫っている」

 返ってきたのは、言葉の内容とは裏腹に、淡々とした女の声。

 青年の眉が、わずかに歪む。

 玉座を見上げたその顔は女性のように繊細で、玉座の上の人物とよく似通っている。腰の位置まで伸ばされ、先端で緩く束ねられた髪は、空と同じ水色をしていた。

「闇、とは?」

 謎めいた言葉の真意を求め、彼はさらに尋ねた。

 青年の問いかけに対する答えはない。玉座の主は掌に水晶球を浮かべ、穿つような眼差しを向けている。薄絹のベールがふわりと揺れ、青年と同じ、空色の豊かな髪が覗き見えた。

 その髪よりも深い青を湛えた双眸に、やがて人物の影らしきものが映り込んだ。


「闇を祓えるのは、新たなる王のみ。――アイオロスよ。ここに映し出す者をこの国へ導きなさい。この国の新しき王となるべき人間を!」

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