おまえってやつは
コンビニでの立ち読みは捗る。誰かに邪魔されなければの話だけれど、にやけた友人が近づいてくる。
「てめえ本当にどうしようもねえな。こんなところで油売ってる暇あったら何かについて考えてみろ。何を考えるかって?自分で考えろ馬鹿野郎。」
うるさい。ちょっと授業をサボって立ち読みしてたらこれだ。そう言うお前も人のことが言えるのかと問いたい。
「俺は、自転車こいでたらばあさんが重そうな荷物一人で抱えてたから駅まで送っていったんだ。それでこんな時間になったんだ。おれは悪くない。」
いまどきその設定は胡散臭すぎて逆に信じられる、と言うとでも思ったかアホ。
「世の中に意味のないことなんてないのですよ。とか語ってたのはだれだっけか、仮にばあさんの話が嘘だとしてもだ、お前に馬鹿にされる覚えはない。」
リフレク。
「ほう、倍返しか、これは捗るな。」
意味がわからない。お前捗るって言いたいだけだろう。
「それは言わない約束だ。」
こんなことを朝っぱらから話していたので一時間目に間に合わず、かといって廊下ですれ違う教師から何を言われるでもなく、休み時間の間に忍のごとく何事もなかったかのように席に着いた。
夏に風なんぞ要らない。クーラーがあれば生きていける。幸い全教室にそれは完備されており、7月にもなるとそれは全力で、汗水垂らして通学してきた僕の睡魔に起きろとわめくのだった。
ほら、気付けば昼休みだ。誰も起こしてくれなかったのか、起きろと言われても起きなかったのかはわからないが、すでに教師の姿はなく、ついでに友人も見当たらず、ああ、食堂に行けば彼ならきっと席を取っていてくれるだろうと、暢気に教室を出た。