9話 夕陽のなかの3人
休日。市の図書館で、耀と麗央が2人仲良く隣り合って勉強しているのを晴夏は少し離れたところで過去問を広げつつ見ていた。
(2人ともテスト後からますます仲が良いって3年のクラス中にも噂になってたなあ。羨ましいなあ)
晴夏は無意識に少し口を尖らせた。
(私も、たった1人でも良いから親友を作ってみたかったなあ…)
晴夏の顔は寂しそうな表情になっていたが…。
(でも美澄さんが楽しい学校生活を送っていることを知って、嬉しいの…)
花の微笑みを浮かべていた。
一方、耀は…
(晴夏先輩、口を尖らせたり悲しそうな顔をしている…。難しい問題を解いているのかな…。可愛いからずっと見ていたいけど、助けたいな)
晴夏の百面相が気になって仕方なかった。
「先輩、私が教えましょうか?どこがわからないんですか?」
ルーズリーフ3枚とペンを持って、耀は晴夏の隣の席に座った。
(ええ!?私、問題に悩んでいるんじゃなくて、2人の関係性を羨ましく思っていただけなのに…)
「えっと、ここです…」
適当に問題を指さすと、燿は説明しながらルーズリーフへ流れるように解説を書き出していった。
「えっ、この問題は高2と高3の融合問題なんだけど…。なんで解けるの!?」
「私は、中学の間にオンライン視聴と兄と姉の教材で高2の範囲まで済ませてるんです。今はレオも一緒に独学していて、高3範囲のわからないところは同好会顧問の加藤先生に教わっているんです。2人で経済学部を目指しているので、2年生になったら家では共通テストや志望校の過去問を解くのに専念したくて」
晴夏は目をまんまるにさせて言った。
「私…数学は得意科目だと思っていたけど、2人には完敗だよ。いっしょに勉強しよう?」
3人は近くの席で、窓から夕陽が差し込むまで黙々と勉強に励んだ。
「そろそろ暗くなってくるかもしれないので、帰りましょうか」
「そうだな、ヨウ。…3人で駅まで行きましょう。お送りします」
駅に着くと晴夏は2人に向かって、キラキラと輝くような笑顔を向けた。
「あのね、実は同好会から配られた消しゴム、期末テストのお守りにしてたんだ…。2人とも、ありがとう!」
(配られたノートセット、最後まで大切に使って合格したい…)




