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6話 入学式 〜眠そうな先輩の微笑み〜

 〇〇高校入学式。

美澄 耀は新入生代表スピーチを任され、壇上へ上がる時には足が震えていた。


(うう…。緊張する…)


 手のひらには汗が滲む。原稿を持つ手も少し震えている時、彼女の姿が目に入った。


(あの先輩、すごく眠そうだ…)


 耀は彼女がトロンとした目であくびを噛み殺しているのを見て、なんだか緊張が解けていくのを感じた。


(…よし。また緊張してきたら、あの先輩を見ることにしよう)


「みなさん、ご入学おめでとうございます。新入生代表の、美澄 耀ですーー


 耀が話していると、眠そうだった彼女の目がだんだんと大きく開いてきた。


(話を聞いて、目を覚ましてくれた。…嬉しい!)


 彼女は目をキラキラとさせて耀の話を聞いていた。スピーチが終わる頃には、花が綻ぶような微笑みを浮かべてくれた。


(可愛い!天使みたい…)


 耀は、自分の話に共感してもらえたのだろうかと嬉しく感じた。そして、また彼女と会えたら良いなと思っていた。


 翌週の授業が始まって間も無い頃に、廊下を歩いていた耀は、進路指導室から出てきた彼女を見かけ、思わず声を掛けた。


「先輩!入学式ではお疲れ様でした!」


キョトンとした顔で振り向いた彼女は看護大学のパンフレットを抱えていた。


(もしかして、忘れられている…?覚えてもらえなかったのかも…)


「あの時、新入生代表スピーチを任されていた、美澄です。先輩は、看護大学を目指されるんですか?もしかして、私のスピーチを聞いて…?」


そういうと、先輩は合点したように頷いて言った。


「うん、あなたのスピーチを聞いて、市立病院で働きたいと思ったの!だから先生に相談したら、ここの看護大学をおすすめされたところなの」


(…もっと先輩とお話したいな)


「あ、あのっ、お名前を聞いても良いですか!?」

「白石 晴夏だよー。よろしくね」


(しらいし、はるか先輩ーー)


「みんなそれぞれの進路は違うけれど、私も美澄さんと同じように地域を照らす光の一つになりたくなったよ。お互い、頑張ろうね!」


そう言って、先輩は輝くような笑顔で応援してくれた。


「はい、頑張ります!」


(もっと頑張りたい。まずは、お小遣いを純金積立に全振りする!)


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