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5話 偽物笑顔が出来るまで 友達3人できた幸せと爆モテ恐怖

「ひまわりちゃーん、元気でねー!!」

「うん、みんな、ありがとうー!!」

「はるかちゃんも、元気でね」

「ありがとう、ひまわりちゃん!」


 ひまわりちゃんとは、彼女の親の転勤で別々の中学になった。卒業式の後、お別れ会に参加したのが彼女との最後だった。


(もしもひまわりちゃんと出会えなかったら、4年生の頃と何も変わらなかったんだろうなあ…)


 晴夏は、ひまわりちゃんの影響でクラスメイトと必要事項以外の話も出来るようになった事を心の底から感謝していた。


(中学生になったら、仲の良い友達が出来たらいいなあ…)



 中学に入ると、同じクラスに華やかな男子生徒が1人いた。すみれくんと呼ばれる彼の周囲には、男女問わず人が集まり、笑顔にあふれていた。


(この人の笑顔とひまわりちゃんの笑顔を私なりに混ぜれば、友達がたくさん出来るかもしれない…!)


 晴夏はまるで何かに追われているように、表情研究に励んだ。


 中学を卒業する頃には、3人友達が出来た。晴夏は過去を振り返ると、この時が1番幸せだったと感じていた。



その後。高校に進学した途端、晴夏に爆モテ期が到来した。彼女が誰かに笑顔で話しかけると、その人はギラリとした目付きに変わるのだ。


「白石さん、好きです!」

「白石さん、結婚を前提にお付き合いしてください!」

「貴女の笑顔に惚れました!」


 晴夏は戸惑い、全て断ったが問題はクラス内だけではなかった。


「…あの!いつも電車で貴女を見ていて、お付き合いしたいと思いました。…私、女の子にこんな気持ちになった事は始めてで、どうしたらいいのか分からないけど、伝えたくなって!」

「君が好きだ!貴女の笑顔を見ているとなんでも出来る気がするんだ…!何、同性でも困る事は無いさ!私の全ての愛を、君に捧げよう…!」


(なんで?…女の子まで??)



 ある日、他校の生徒からの告白ラッシュを躱した晴夏が、混乱しながらも登校し教室に入ろうとした時。クラスから嘲笑が聞こえてきたので彼女は思わず入り口の近くに隠れた。


「なんかさ、入学してから白石さん、めっちゃモテてなーい?あんたも断られてたよね?」

「ああ。…笑顔が思わせぶりなんだよな〜」

「他校の人気者からも告白されまくりらしいぞ?アイドル級に可愛い女子からも告白されてるのを見たことあるし」

「マジか!競争率たっか!」

「あはははは!うけるー!」

「これで白石と付き合えたヤツ、勲章ものじゃん!」



(なんで?私は、ただ…)

(友達が欲しかっただけなのに…)


 晴夏は、その日から笑顔をアップデートする事を、もう止めた。


(ずっと笑わない訳にもいかないし、対人用の笑顔は続けよう。…でも、勉強を頑張って特進クラスに入れば、周りは勉強一筋の人達ばかりで環境が良くなるかもしれない)


 告白を避ける為にも数少ない女友達にくっついていた晴夏は、友人が風邪で休んでいる時など、自分が1人の時は『私に話しかけるなオーラ』を出してガリ勉になった。1人で席に座っている時に、参考書を広げていると安心できた。


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