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死因

作者: やまゆー
掲載日:2025/12/08

ある日、彼女は言った。

「死にたい」

冗談だろう。冗談には冗談で返すのが鉄則である。

「死にたいなら死ねばいいよ、できるならね」

日々は続く。校外学習へ行った。修学旅行へは、残念ながらはやり病のせいで叶わなかった。

またある日、彼女は言った。

「死のうかな」

冗談だろう。だから、決まってこう答える。

「死にたいなら死ねばいいと思うよ、できるならね」

そうしているうちに、もう卒業である。

「酒のめるようになったら飲みに行こうよ」

「誕生日近いしな、俺の誕生日くるまで禁酒しとけよな」

「もちろん、未成年飲酒なんてしないでよね」

「するわけないだろ、まだまともな人間よ」

「もう、卒業だね」

「3年はやかったなあ、修学旅行行きたかったわ」

「事態が落ち着いたら二人でいく?」

「いいね、せっかく旅程立てたんだし同じ道でも辿ろうか」

学校を背に歩く帰り道。気づけば3年間ずっと同じクラスだった。思い出話にも花が開くというものである。

「それじゃあね、LINEしてよね」

「またいつかね、忘れんなよ」

「」

「それと死ぬなよな、俺おまえと酒のみてえもん、せめて死ぬならサシ飲み終わってからにしてくれよ」

「私もそれまでは生きるよ、約束忘れたら殴るよ」

「高校もほどほどにな、ああ違うかおまえ専門か、頑張りすぎんなよ、身が滅ぶぞ」

「世話焼きはもの好きにしか好かれないよ、そんな物好きがいるといいね」

「運命の人ってやつだな」

「 だね」

手を振って背を向ける。もう振り返らないことにした。振り返ればきっとまた会話が始まってしまう。彼女はきっと、もうエントランスに入っただろう。

『反応してよ』

『会話が終わらないだろ』『もとよりこれでいいじゃん、無限に話せるぞここなら』

『まあ、そう、だね』

あれから2年、歳で言えば18のころ。最初の方はLINEも多かったが、時間が経てば彼女との連絡は少なくなっていくのが常である。今となっては月に一度あるかないか。

『成人しちゃったね、まだ酒はのめないけど』

『成人年齢下げるのってなんの意味があるんだろな』

『選挙権とかと合わせるためだったかな?でも酒とかは20だから、少しお預けの感覚』

『酒飲み行こうや、あと二年したら』

『今から予定たてる?2年後覚えてられるかな』

『俺は覚えてられるね、なんせgoogleカレンダーがあるからね』

『文明の利器』

『使えるもんはつかっとけ』

『そうそう、私専門やめた』

『えらく急に、じゃあなにしてんのよ』

『今通信制高校に通ってる、意外といいよ』

『そういえば今の時代そんなのもあるのか、いいじゃん』

『同じ歳だけど後輩だね』

『俺は先輩が好きだな』

『ふーん』

『なんだよ、文句あるかよ』

『よくいっしょに帰ってた同じ部活だった先輩狙えばよかったのに、じゃあ二年留年してよね』

『俺の人生安すぎない?』

『冗談よ冗談』

彼女は唐突に言った。

『死にたい、もう疲れた、学校も』

答えはもう決まっている。

『死にたいなら死ねばいいよ、できるならね』

それから卒業まで、会話はなかった。

卒業して数日、知人から一通の連絡が届く。


18歳、未亡人と言うには些か早すぎるだろうか。

ある女性との話。

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