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「ペットをください!」と言ったら奴隷が出てきた件について。  作者: 世渡 上手


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3/3

ペットくださいって言ったら、エルフが来た

……ん? 今、なんて言った? エルフ?

……いや、聞き間違いだろ。だってここ、ペットショップだぞ?


「しっつれいしま~す!」


しかし、俺の淡い希望は一瞬で打ち砕かれた。

入ってきたのは――重そうな首輪をつけ、ボロボロの服を着た一人の少女。

服はボロボロなのに、本人は元気いっぱいで、人懐っこい笑顔を浮かべている。

尖った長い耳は彼女がまぎれもなく、本物のエルフであることを物語っている。


「え、えっと……」

「何か、ご不明な点が?」

「いや、その……俺、ペットが欲しいんですけど……?」

「はい。ですから、ペットをお連れしました」


……は? 今、“ペット”って言った?

……商品……買える…………奴隷!?ペットってそういうこと!?


「ほら、自己紹介をしなさい」


「エルフ族のアイドリー・アリアです! アリアって呼んでください♪ 年齢は二十一歳です」


「この娘は正真正銘、純血のエルフ族です。年齢も若く、容姿端麗。

本来なら――一千万ゴールドはくだらない逸品です」


い、いっせんまん!?

いっせんまんて日本円にすると……十億円!?


「な、ならどうして?」


「それが……実は…………驚かないでくださいね?」

 

「は、はい……」


店内に重い空気が漂う。


「実は――この娘は双子の片割れなのです!」


「……え? そ、それが何か問題なんですか?」

「……もしかして、遠方のご出身ですか?」

「え、ええ……まぁ」


「なるほど。ではご説明いたします。この国では“双子”は悪魔の子として忌み嫌われているのです」


「悪魔の子……?」


「この辺りでは“真理教”という宗教が広く信仰されていますね?」

「はい、それは知っています」


真理教――このあたりじゃ誰もが知ってる宗教だ。冒険者の間にも信者は多い。


「真理教の教えでは、双子は“厄災の象徴”とされています」


「……そ、そんな事情があるんですね」


そういえば前に酒場で「双子が生まれた!」って騒いでた連中がいたっけ。

その時は何を大騒ぎしてるんだと思ったが、まさかそういう理由だったのか。


「一つ、質問していいですか?」

「どうぞ」

「仮にこの子が双子だして、でもそれを黙っていれば高く売れたんじゃないですか?」


「実は――双子は生まれながらに“印”が刻まれているのです。

先に生まれた子は右手に、後に生まれた子は左手に。……アリア、見せなさい」


「おっけー!」


アリアは勢いよく右手の手袋を外した。

そこには、確かに不気味な骸骨のような紋章が刻まれていた。


「ほ、本当だ……」

「これマジできもいよね~。私これきら~い!」

 

思わず息を呑む。

確かにこれは……避けたくなる気持ちも分かる。


「この印を持つ者と共に暮らすと、不幸が訪れる――そう信じられているのです」

「だから、買い手が……」

「ええ。私も地方出身でして、ここまで忌避されているとは知らず仕入れてしまいまして。

今では買い手がつかず困っていたのです」


「……なるほど」


「どうでしょう? 今回に限り――特別価格、50ゴールドでお譲りします」


「50ゴールド!?」


つまり……日本円で五千円!?

破格どころか、ほぼタダ同然じゃないか!


それだけ差別が根深いってことか……。

だが――そんなの俺には関係ない!


双子? だからどうした!俺は日本人だ!

双子差別なんて聞いたこともない!


むしろこんな可愛いエルフを5000円で買えるなんて――

異世界ドリームすぎる!!!


「買います!」


これは運命だ。

そう感じた俺は即決で彼女、アリアを購入することに決めた。

 

「……!!!本当ですか?!ありがとうございます!!!今すぐ手続きをいたしますので少々お待ちください!」


店員は興奮した様子でそう捲し立てると、ばたばたと部屋を出ていった。

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