初めての異世界ショッピング
「ごめんくださ〜い!」
胸を高鳴らせながら、俺は店の扉を開けた。
これから“新しい家族”と出会うかもしれないと思うと、自然と頬が緩む。
店内は――可もなく不可もなく、まさに“普通のペットショップ”といった雰囲気だ。
「いらっしゃいませ。本日はどのような商品をお探しで?」
奥から現れた店員は、きちんとした服装に清潔感のある青年だった。
……まぁ、生き物を扱う仕事だし、その辺の印象は大事なんだろう。知らんけど。
「えっと……最近、一人で寂しくて。その寂しさを埋めてくれるようなペットが欲しいんです」
「なるほど。承知しました。ちなみに、ご予算はどのくらいをお考えで?」
「うーん……そうだなぁ〜……」
俺は手元の財布に視線を落とす。
この世界に来てからというもの、身分不明の俺はまともな職に就けなかった。
だから、今は“冒険者”としてなんとか食い繋いでいる。
冒険者、と聞くと――魔物討伐とか、壮大な旅とか、そんなカッコいいイメージを抱くだろう。
だが、現実は違う。
冒険者ってのは、俺みたいに“職を選べなかったやつ”の受け皿みたいなもんだ。
実際、魔物を倒してる冒険者なんて全体の半分もいない。
ほとんどは薬草摘みとか、肉体労働の手伝いとか、地味な依頼ばっかりだ。
……当然、貯金なんてあるはずもない。
今手元にあるのは――たったの100ゴールド。
日本円にして、およそ1万円といったところだ。
まぁ、これだけあればペットの一匹くらいは買えるだろう。たぶん。
「えっと、予算は100ゴールドです」
「……なるほど。100ゴールド、ですか……」
その瞬間、店員の表情がわずかに曇ったのが分かった。
「な、何か問題でも……?」
「そうですね……100ゴールドですと、通常の商品は厳しく……。
いわゆる“訳あり商品”のご案内、という形になってしまいますね」
な、なんだと!?
ペットってそんなに高いのか!?
日本じゃハムスターが千円とかじゃなかったっけ!?
マジかよ……やっぱ異世界は物価も違うのか……。
でも、せっかく来たのに手ぶらで帰るのもなぁ〜。
「一応、商品を見せてもらうことは可能ですか?」
「はい、もちろんです。では、あちらの椅子で少々お待ちください」
言われるままに椅子に腰を下ろす。
しばらくすると、店員がトレーを持って戻ってきた。
「今回はご予算が100ゴールドということで、当店からご紹介できる商品は――3点ございます」
「……な、なるほど」
この規模の店でも、1万円以下のペットは3匹だけなのか……。
「まずご紹介するのは――エルフ族の娘です。
入ってきなさい。」




