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《完結》戦利品にされた公爵令嬢  作者: ヴァンドール


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1話

 ルミナール王国はついに敗戦国となってしまった。

 王族たちは皆、北にあるダンベル塔に幽閉され、来たる裁判の日までそこから出ることは許されない。

 王家の血筋であるスターレン公爵家のアリシア公爵令嬢は今、敵国であるイーストリア王国のバーデン辺境伯のデュークによって、家族と共に屋敷の中で監禁されていた。


 バーデン辺境伯はアリシアを見るなり下衆に笑った。


「これはかなりの上玉だ、陛下に願い出て《戦利品》として我が屋敷に持ち帰るか」


 そう口にすると、アリシアの父でこの屋敷の当主であるスターレン公爵が焦ったように言う。


「お待ち下さい、娘だけは勘弁下され、他のことなら何でも従いますから」

 

「敗戦国の公爵に何ができる、精々娘を差し出すくらいしかないだろう。大人しく娘を差し出すなら他の家族の命だけは保証してやる」


 するとそこへアリシアが口を開く。


「私がそちらへ行けば必ず家族の命の保証はして下さるのですね?」

 

「ああ、大人しく付いてくればその保証は確約してやる」

 

「駄目だアリシア、そんな所へ行けば何をされるか分からない」

 

「お父様、私なら大丈夫です。それより弟のロジーはまだ幼いのですからお父様とお母様が側にいて守ってあげて下さい」

 

 そこへ敵国の別の貴族がやって来た。


「これはウエスタント公爵家のランガー様、この令嬢はなかなか上玉ですぞ。良かったらランガー様に此度の戦の《戦利品》として差し上げますので先日の件、何とか陛下にお願いしていただけないでしょうか?」


 すると公爵はアリシアを見て、何か思ったようで、考えていた。


「良かろう、では私が持ち帰るとしよう」


 こうしてアリシアは敵国である隣国のイーストリア王国のウエスタント公爵家へと連れて行かれることになってしまった。

 その後、あとに残った家族はこの国の王家の血筋ではあったが、その当時の王家とは敵対し、この戦争に反対していたこともあり、お家取り潰しとまではならず、領地と称号を維持することが許された。

 というのも、新しい支配者側にとって、現地の統治を円滑に進める上で、既存の権力構造を利用する方が有利なことが多かったためだった。

 しかし、それは結果的に人質として娘であるアリシアを差し出すことになってしまった。





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