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七杯目〔空っぽの空き家だな〕
「かくれんぼするか」
「え、急っ」
「五……四……」
「ええッ? (というか隠れる場所がない!)」
「三……二……」
「ちょッ(こうなったら別次元に!)」
「一……――よし。言っておくが、おれの周辺視野は常に中心をとらえている」
「(なんかカッコイイ!)」
「……。おい、どこだ?」
「(椅子ところを探しても見つかりませんよ、ふふ)」
「お、見つけた」
「(えええぇええ?!)」
「つぎ、おまえな」
「(ちょ!)――ワタシはここですよっ!」
「ぉ? ――誰だおまえ?」
「イヤイヤ魔王ですっ! 隠れてたんですよ!」
「のぞきはやめろ、チカンだぞ」
「冤罪です! というか椅子の後ろに誰がっ? ――あ、誰もいない……」
「空っぽの空き家だな」