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四杯目〔これ牛乳と持っていくから〕
「……。さすがにオセロもあきてきたな」
「え? さっきから何もしてませんけど……(立ってるだけで)」
「おれのなかでは王手飛車角取りなんだよ」
「とんでもない一手ですね……」
「まさかの手負いだな」
「……――ところで、サトウさんはどうしてここに?」
「ぉ? なに見てんだ、おまえ」
「サトウさん、そっちは誰も居ませんよ……」
「――ん、なんでゴマから鍵穴づくしなんだ?」
「サトウさん、それはワタシのツノです」
「なんだおまえのか。少しわけてくれよ」
「はじめて会話が成立した気がします。でもわける事はできません」
「気が気じゃないな」
「どうも……――それで、サトウさんはイテテ引っ張らないでください!」
「これ牛乳と持っていくから」