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十三杯目〔え?〕
「不知火は熊本県果実農業協同組合連合会が所有する登録商標で、糖度13度以上の」
「なんですか急に……」
「デコポンのコトだよ、知らねぇのか?」
「え、シラヌヒって言うんですか? じゃなくて、なんで急にウィキみたいなことをっ」
「そろそろ出家する時季だからな」
「そんなシーズン聞いたことないです……」
「三大成人病の一種だ」
「まさに病は気から、ですね」
「……。でなんで、そんなところにいるんだ?」
「サトウさんが突然、馬になれって言ったんじゃないですか……(ワタシ魔王なのに)」
「打ったら戻る! 真ん中へ!」
「(ビクッ) 急に大きな声、出さないでください……」
「このチャンス! 絶対にのがせないっ、燃え尽きろ! おれの命運ッ!」
「燃え尽きちゃダメですって! ――……というか、今回けっこう話せてませんか?」
「だいたい最初はミンナそう言うんだよ」
「(やっぱりまだダメか……)」
「でなんで、おれはこんなところにいるんだ?」
「そんなのワタシが聞きたいくらいですよ……」
「出口どこだよ」
「外につながる扉は向こうですよ」
「わかった。案内して」
「ぁ、はい。――え?」