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十一杯目〔ツノにパンを〕
「イテテテ。お待たせしました。自称勇者を倒してきたので、しばらくは静かですよ」
「あれ山田さん、なんでこんなところに?」
「いえ魔王です。それよりサトウさん、お腹すきませんか?」
「一枚持ってきて!」
「あ(なるほど)」
「だからこれはジイちゃんの内臓脂肪だって言ってんだろっ!」
「ふファ?!」
「いいから向こう行ってろ! ――でナニ? 山田さん」
「魔王です。サトウさん、お腹すきませんか?」
「昨日の未明から胃袋が消息不明です」
「そんな事件みたいに言わないでくださいよって大変じゃないですかっっ」
「胃カムバック、そしてリリース」
「いやいや戻して戻して!」
「天下をとる日もそう近くない」
「なら言わないで!」
「……」
「と、とにかく、これを……」
「……――誰?」
「ただのパンです! ヒトみたいに言わないでください!」
「ふーん。ありがと」
「え? あ、はい」
「……――そいやっさ!!」
「ギャア! なんで?!(ツノにパンを)」