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ラジオ体操

作者: 三毛猫乃観魂

 猫と一緒に暮らしている、OLの佳代。


 OLをやっている佳代、去年両親が相次いで亡くなり、今は自宅で一人暮らし。否、一人暮らしではない、佳代には小学生のころから共に過ごした猫の獅子の介と仲良く暮らしているのだ。


 今日も未明に近い時間、あらびきスライスサラミをおつまみに獅子の介と一緒にビールを飲んでいる佳代。

「腹立つわよね、私のお腹ことをぽっちゃりと言うのよ、後輩のくせにベテランの私に向かってさ」

 獅子の介も猫用のチキンを食べてながら愚痴を聞いている。

「いいわよ、ぽっちゃりで。私と獅子の介でぽっちゃりの極みを目指しましょう」

 いきなり獅子の介をひっくり返し、ぷにぷにのお腹を撫ぜた。

「!」

 この時、獅子の介が驚愕の顔を浮かべていることに佳代は気づいていなかった……。


「えっ、何?」

 次の日の真夜中、何か音が聞こえてくるので佳代は目を覚ます。

 確かに隣の部屋から何か聞こえてきているではないか!

 耳を澄ましてみると、

『――体を横に曲げる運動~息を吐いて柔らかく~』

 軽快なリズム、これはラジオ体操だ! しかし、隣の部屋は仏間、誰もいるはずがないのに。

 ふと、思い出す、健康志向の両親は毎日欠かさずにラジオ体操をやっていた。もしかして死んでからも健康を考えて両親はラジオ体操をしているのか? もしかしたら、健康に気を使っていたのに亡くなったことを後悔してさらにラジオ体操をやっているのだろうか……。


 その日から、真夜中になると毎日毎日、仏間からラジオ体操が聞こえてくる。

 ついに意を消した佳代は仏間で何が起こっているのか、直接確かめるためことにした。

『――足を開いて、上体を柔らかく斜め下に曲げます~』

 布団から起き上がり、抜き足差し足で近づくとこっそり襖を開けた。そして、そこにいたのは……。

 CDラジカセから流れる音楽に合わせて、ラジオ体操をしている獅子の介の姿であった。

「見られたニャ~」

 佳代がいきなり襖を開けたので普段隠していた二本目の尻尾も、ばっちりと見えていた。


 獅子の介が何であれ、大切な家族であることには変わらない。

 ぽっちゃり体型は佳代も同じ、獅子の介がぽっちゃり体型を気にしてダイエットをするなら家族である自分もやるべき。

 そう決意した佳代も、翌日から獅子の介と一緒にダイエットをすることにしました。








 猫は何をやっても、可愛いですよね。

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