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報われない姫君たち

「お前は一体何様のつもりなの?」


五歳くらいの少女が私をにらみつけた。

整った顔立ち、透き通るような白い肌、美々しく飾られた衣装や髪。

王妃候補の一人なのだろうか。ずいぶんと歳が離れているな。

イーホンは汗を流すためにすぐ戻ると言ってカイコーと去ってしまった。

ソウたち三人は騎士たちと話し込んでいる。


(味方がいない~!)


敵意をむき出しにした女の群れは恐ろしい。

私より年上だったり、同じくらいだったり、最年少はこの子か。


「こんな者を相手にしてはいけません!」


止める側仕えを振り切って、少女たちは言いつのる。


「わたくしたちは陛下にお仕えするために、産まれてから今まで厳しく育てられてきたのですわ!あなたに国内外の社交ができて? 政治が分かって? ただ美しいだけではだめなのよ! 身の程を知りなさい!」

「年に一回、床に侍っているというわね。深海の布も、そうやって評価されたのかしら」


やっぱり誤解されていたか~。

それは不本意だ。きっぱりと言ってやる。


「私とイーホンはただの友達よ。深海の布をおとしめないで」

「ただの織子が陛下の名前を呼ぶなどと!」


ああ、火に油を注いでしまった。

幼い少女たちはただ怒っているが、後ろにいる泣きそうな年上のお嬢さんなどはもう適齢期を過ぎてしまっているのではないか。メーユ王国では分からないが、少なくともナワキ諸島ではそうである。

過去の件がある。年上の女性をイーホンは受けつけないかもしれない。

メーユの王宮には後宮があるのか? 彼女は実家に帰って新しい相手と結婚できるのか?

最悪の場合、一生王宮で朽ちてゆくのみなのだ。


「私は身分をわきまえているつもりでおります、姫君」


接客モード、発動。


「陛下のお相手はあくまでみなさま方。私はただ気まぐれに遊んでいただく織子でございます」

「ならば、もうメーユ王国に来ないで!」

「それはできません。私にとってこれは大事な仕事ですので」


悔しそうに姫君たちは私を見た。

苦い沈黙の後に、


「どうやったら陛下に笑っていただけるの?」


誰かが小さくたずねた。

すがるようにみんなが返事を待っている。


「……分かりません。申し訳ございません」


その装飾過多な衣装を脱ぎ、王宮を抜け出して一緒に朝焼けを見て、きれいだねと言い合えばいい。

でも、そんなことをイーホンは許さないのだろう。

女性嫌いは深刻なようだ。

改めて、イーホンの母をキック&チョップで倒してやりたい。


「キャリコ、帰りの竜の準備ができたって!」


ソウたち三人が呼んでくれて正直ほっとした。

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