ルマの商い記 -32-
窓口での手続きは思ったよりも早く終わった。
提出する書類の全てを提出を完了して入国管理機構の建物を出る。
風下の国ならではの青い空がルマの出発を見送っている。
ルマは岩の国方面に向けた荷馬車を見つけるために国営市場近くの荷受け場へと足を向けた。
荷受け場は、国営市場の出口付近に存在している。
荷物だけでなく、人などの受け渡しもここで行われている。
ちょっとした操車場兼荷捌き場所、といったような場所がこの荷受け場になる。
そこで岩の国方面に向けて荷物を運ぶ荷馬車を探した。
荷受け場からは不定期ではあるものの各国に向けた馬車も出ている。
ただ、その手の馬車には旅客料金が掛かっているため、若干割高の感がある。
その内訳としては荷降ろし料金や、馬車の待機料金などがあって、設定も様々。
商人は荷降ろしなどは自分で行うし、待機の必要もない。
そのため大抵は荷馬車を現地で調達して、自分の国へと荷物を持ち帰る事がほとんどだ。
中には豪商のような者もいて、自分は旅客馬車で帰る猛者も珍しいが存在はしている。
とはいえ小商人であるルマにはそういった要素は必要ない。
極力貧乏旅とも言えるような格好もあって、なるべく安く抑えたい。
そういった商人は荷受け場で行き先、あるいは方面が同じ商人同士が集まって荷馬車を手配する光景がよく見られる。
中には資金ショートをした商人が同じ国の商人に現地での返却を約束して帰国していく様もよくある光景のひとつ。
物乞いにも似た懇願する様を、柔和な表情のまま無視して通り抜けていく。
ルマが商人であることをよくよく知らせる場面でもある。
何にせよその商人の方面が全く違う方向とあっては、ルマとしても聞き入れる義理はないというのが正しいところではあるが。
荷受け場を歩き回りながら、3人ほどの商人を見つけた。
それぞれが垣の国とその周辺地域へ向かうという。
岩の国はその少し手前にあるので、ちょうど良い。
折半の金額を話し合って決める。
距離感として手前のルマが若干安めに支払うことで落ち着いた。
そのあたりは商人同士とあって、相場観などが一致していて話が早かった。
先に2人が馬車の奥へと乗り込む。
ルマは手前に乗り込んだ。
荷受け場から、馬車が出発する。
ここから岩の国まではたっぷり3日間は掛かる道のり。
今回の商いも、楽しいものだったと想いに耽りながら、風下の国を去っていく。
馬車はどんどんと遠くなっていく。
車内ではゆったりと外を眺めながら、流れていく雲を見つめるルマの姿がある。
柔和な表情はいつものまま、手元でまた手紙をしたためていた。
残りの2人とも、時折談笑をしながら馬車に揺られていく。
こうして、ルマの風下の国での商売が完了した。




