7話
「貴方様が、騎士国の騎士王ですか?」
謁見の間に入ると一人の少女が俺を出迎えた。この国のトップで鬼人族の王なのだろう少女は確かに鬼人族の王と言っていいほどの力を秘めていた。簡単に言えば騎士国の狼騎士になれるほどには実力があるだろう。
「そうだ、俺が騎士国の騎士王になる。シリウスだ。」
「これはすいません。私は鬼人族の王で名前はリアといいます。鬼人族の名前は短いのでお許しください。」
「よろしくな。さて、こちらはのんびりと話していてもいいがそちらの為にもさっさと本題に入るとしようと思うがよろしいか?」
俺がそう尋ねると
「はい、こちらとしてもシリウス殿の真意を伺いたいですからその提案はありがたいですね。」
まぁ、こちらを警戒しているのは当たり前かおそらく15位なのにこの対応ができているから合格点だね。俺?どう考えても鬼人の国とは同格の国ではないからね。確かに、今の人口は多いとは言えないがやろうと思えばドロイの報告曰くゲームの世界よりも圧倒的に楽に世界を牛耳ることができるということもあるが今俺の国は慈悲という形でこの国の国民に食料を渡している。その点を向こうも理解はしているのだろう。だからこそ、下からこちらに接してはいる。警戒しているのは、この貸しをどの程度俺達が要求とするかということも考えているだろう。まぁ、そんなことどうでもいいが。
「では、貴国に対してこちらの提案をしよう。黒恵…」
「はっこちらでよろしいですか?」
黒恵が俺の陰から出てくる。手には紙を持っていて俺の為に契約書のようなものを作ってきたのだろう。目を通しても俺の考えていたことと変わらないのでその意見を採用してリアに見せることにする。
「こちらの紙を見てほしい。」
黒恵にその紙を返すとその紙をリアの横にいる侍女に紙を渡してリアに紙が渡った。そして、それをみたリアは驚愕していた。
内容はこのようなものになる。
・騎士国と鬼人国との間での不戦条約
・お互いの国での輸出入はお互いの王の両方の許可が必要となる。
と簡単にこの2つになる。ようは、こちらからは攻めませんからそちらも攻撃はしないでね?
輸入や輸出はお互いに納得しないとできない。
「これは、これ以外のことに関しては?」
「そうだな、この国に対して攻撃をしてくる国はこちらで勝手に対処しておこう。」
『主様…緊急の知らせが…』
「ドロイ…今は王同士の場だぞ?」
『鬼人の国に向けて10万もの軍がそちらのほうに向かっております。それに対処していいのかの許可をもらわなければ何もできません。』
「すまない。リア殿…対処をしてもよろしいか?」
リアの方をみると俺を見ながらぼうっとしていた。
「本当に10万もの軍が来ているのですか?」
「そうですね、ドロイ映像を出せ」
俺のその言葉と同時に上空からの映像が出てきた。ホログラムだが見えるだろう。その映像には確かに10万近い軍が攻めてきていた。おそらく、後2日で着くくらいの距離にはいた。
「これは…」
「さて、リア殿…許可をもらえるか?そうだ、先に決めておかないとな。今回から戦争を我が国がする場合においての報酬を決めようか。」
俺がそう言うと、リアは警戒し始めた。
「報酬とは?」
「それはな、一回ごとに…お互いの軍を交流訓練とかはどうだ?そうすればそちらにはこちらが持つ騎士の育て方を教えよう。後は、魔法技術の提供もできるぞ?代わりに、鬼人が本当に神と言われる鬼神となれるのかを調べたい。解剖という話ではなく俺と同じように神と昇格できるのかを純粋に調べたい。」
その言葉と同時にプレイヤー共通スキルの一つである。神化を発動させる。その瞬間に俺の頭には狼のとんがった三角耳が生え人間の耳は消える。そして、尾てい骨のあたりからは尻尾が生える。そして、体に纏っていた魔力は神力へと変化を果たす。それと同時に黒恵は後ろで跪く…いや、生物の本能としてかリアたちも跪いていた。
「もちろん、リア…お前にこの神化を果たしてほしい。俺と真に対等の存在をなれるように」
「神であるとは知らずに行った無礼をお許しください。シリウス様」
「いや、それは別に構わない。それより、俺の国と友好を結んでほしい。ドロイが敵が攻めてきているということを教えるということは本当にいい国ということは証明されたようなものだ。それに、門の前にいた。兵たちは命に代えても守ろうとしていたからな。こちらに敵意は無いということを示すために無茶はしたけどね。」
「本当に我が国でよろしいのですか?」
神というだけで警戒心を解いちゃったよ…
「よろしくな?リア…さて、友好が結べたと判断して…ドロイ…映像をもう一度出せ…ヴォイスに敵の軍は任せる。即刻地獄を見せろ。すまないリア殿今からこちらの騎士国にある六大騎士団の一つ赤狼騎士団の団長ヴォイスという近接特化の男の戦い方を見せる。それを持って俺達の国との協定はどうするかを決めてくれ。」
そして、映像は戦場となる平野を映した。