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最強歩荷さんシリーズ

魔法少年?になって世界を救ったはずだが夢落ちだった件

「靴屋の倅が〜」の感想に山上くんがムーちゃんから『ワイと契約して云々~』とか言い出す〜いうものがあったので、思いつきで書いてみました。


 私は山上(やまがみ) 和人(かずと)、15歳で男だ。

 先日、誕生日を迎えて成人したので歩荷として働き出したばかりなのだが、ひょんなことから人並みよりも大きな魔法を授かったり、会社の研修で冒険者になったり、結構忙しい。

 最近、もう、婚約者と言っていいんじゃないかな。凄く中の良い、私には不釣り合いなほど綺麗な彼女もでき、かなり充実した日々を過ごしている。

 そんな日常の中で、彼女が山で拾った白いムササビの魔獣、ムーちゃんと遊んでいると、頭の中に何か声が聞こえてきた。


<<・・・和人、・・・和人。>>


 私は、誰が話しかけてきたのだろうかと思い、キョロキョロしたが、誰もいなかった。


<<和人、ウチはここたい、ここ!>>


 目の前でムーちゃんが二本足で立ち上がり、右の前足で自分を指していた。

 私は驚いて、


「今、話しかけているのはムーちゃんなのか?」


<<そうたい!(かおり)に世話をさせているムーたい。>>


ムーちゃんは、何故か博太弁で話しかけてきた。


「凄い!ムーちゃんにこんなことができたなんて!

 もう、薫は知っているの?」


<<いや、これは和人とウチだけの秘密たい。

 端的に()うとーなら、白い生き物は神様の使いと言われとーとは知っとーね?>>


「はい。」


<<ウチもそれたい!

 最近、ちょ〜っと神界で揉め事があったとね。

 で、軽く世界は危機に瀕しとーとよ。

 これから何体か怪人が現れるたい。

 でも和人なら、魔力量も多いし行けると思ーとよ。

 ただ、和人はある程度魔法は使えとーとばってん、ままだま未熟たい。

 で、ウチと契約して今より強化して戦って欲しいたい。>>


 私は、突然神の使いだとか、世界の危機だとか言われてもピンと来なかった。

 が、突然ムーちゃんが光った。


「和人、敵が来たとよ!」


 私は戦慄した。

 そこにいたのは、カブトムシの頭にゴキブリのような羽、二本足で立っているが腕は四本ある怪人だった。

 手には、左右に剣に錫杖、そして盾も持っていた。残り一本の手で私を指差し、こう言ってきた。


「貴様が新しい魔法少女候補だな!

 この世は俺の主人、ナスダーク様のものになるのだ!

 もし、ムーと契約して逆らうならこうだぞ!」


 私は女ではないというのに、失礼なやつだと思ったが、怪人は近くの実家に向かって何本も大きな氷の槍を作り、飛ばして全壊させた。


「何をしているのですか!

 そこには私の家族が寝ているのですよ!」


「俺の知ったことか!」

 そんなもの、人はたくさんいるのだから人が一人減ろうが、二人減ろうが、誤差の範囲だろ?」


 怪人はニヤつきながら、泣きそうになっている私を見た。


「所詮は愚鈍な人間どもか。

 力の差を教えてやらないとわからないのか?」


 怪人はまた大きな氷の槍を作り、今度は私の方に飛ばそうとしてきた。


<<和人、僕の手を握ってこう言うとよ!

 『あい、わーく、ふぉーゆー、まいろーど!』>>


私は何のことかわからなかったが、ムーちゃんの言う通り、手を取りながら言った。


「あい、わーく、ふぉーゆー、まいろーど!」


すると、私の足元に見たこともない丸い輪っかに珍妙な絵柄やら知らない文字が光となって浮かび上がり、何故か光りに包まれて見たことも聞いたこともない服装に変わった。なんとなく露出が多い気がするが、抜群の動きやすさだ。このひらひらは意味がないと思う。ムーちゃんの首にも、桃色の蝶結びの布が現れた。

 飛んでくる氷がゆっくり近づいてくるように見える。

 私は避けようと思ったのだが、ムーちゃんがこういった。


<<変身完了!

 和人、そんなもん、拳骨(げんこつ)で返さんね!>>


 私は、咄嗟(とっさ)に拳骨で氷を跳ね返した。


 ムーちゃんの顔がニンマリした。

 怪人は、険しい雰囲気を出していた。


「貴様!

 やるな!」


 そう言って、今度は怪人が、不快な音を立てて飛びながら斬りかかってきた。

 ムーちゃんがまた言った。


<<和人、もう一度拳骨で殴ればいいたい!>>


 私はその言葉を聞いて、思わず身のこなしで剣をすり抜け、拳骨で思いっきり殴った。

 怪人は吹っ飛び、倒れて虫の息になった。


「見事だった!

 私はこれで散るが、ナスダーク様を世界一にできなかったことだけが心残り・・・」


 そう、途中まで言ったところで、ムーちゃんは光を放った。

 その光が怪人にあたり消滅する。


「ムーちゃん、ちょっとやり過ぎじゃない?」


 私はそういったのだが、ムーちゃんはこういった。


<<これは全て、世界を安定させるためたい。

 本当は殺生は良くないばってん、これで世界に空いた穴が塞がるたい!

 当分はこれで大丈夫だと(おも)ーと。

 もし、また怪人が現れる事態になったら協力して欲しいとよ。

 まぁ、でも、さっき、ウチが主人になるように奴隷契約もしてしもーたと。

 嫌とは言わせんたい!>>


 さらっと恐ろしいことを言われた。

 そういえばさっき、氷を避けようと思っていたはずなのに、ムーちゃんに言われて拳骨で殴ったことを思い出し、背中から大量の汗が出てきた。


「ムーちゃん、冗談だよね?」


<<ウチは面倒なのは嫌たい。

 あ〜。折角だし、ウチのことはマイロードと呼んでもらうたいね!>>


 私は、『ムーちゃん』と言おうと思ったのだが、違う言葉が口をついた。


「マイロード、それでは薫に怪しまれます。」


 そう言ってしまい、これからのことをどうするか困ってしまったのだが、なんとなく『マイロード』と呼ぶのがしっくり来る。それどころか、なんとなくお使えできて嬉しい気持ちさえあった。


<<まぁ、そうたいね。

 おっと、もう、こんな時間ね。

 今日はご苦労さんだったたいね!>>


そう言われて、目が覚めた。


 私は、ムーちゃんをお腹に乗せた状態で寝ていたようだ。

 私は小さな声で、「ムーちゃん・・・。」と呼び、ホッと胸をなでおろしたのだったが、なぜ安心したのかは分からなかった。


 おしまい。


あくまで夢落ちなので、本編とは関係ありません。

(辻褄くらいは取るかもしれませんが・・・)

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