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エッグプラネットカフェ ~茄子神様の舞い降りた店~  作者: 矢凪
♪序章♪ 茄子色のプレリュード
33/35

♪第四章♪ 茄子色のセレナーデ *10*

 カフェに戻ってきた実梨(みのり)(れん)を出迎えたのは、里桃(りと)でも里杏(りあ)でも、庄一(しょういち)でもなく、見知らぬ浅黒肌で長身の青年だった。スラッとしたモデルのような容姿に、しかし服装だけはどこか古臭い浴衣姿だ。

 誰だろう、と顔を見合わせて首を傾げた二人に、美青年はニッと白い歯を見せて、見覚えのある笑みを浮かべた。

「おかえりさん、実梨みのりん! お騒がせなサボり魔、漣!」

 その関西訛りと、透きとおった紫色の瞳は――。

「「蒼空(そら)!?」」

「どうや、俺様また一段とカッコ良うなったやろ? これでようやく、漣と対等に実梨んを取り合えるっちゅーわけや!」

「マジで、実梨のこと本気だったのかよ!」

「てゆーか、蒼空にはまだ私の名前のこと、話してなかったのに……」

 美咲ち、に続いて、実梨ん、という妙な呼び方にも、何だか納得がいかない。

「アホさらせ。俺様の領域で(しお)どのと堂々と話してたやろが。とうに知ってたがな」

 知っていて、皆が知るまで黙っていてくれたというのか。

「それはともかく、さっきから向こうで実梨んのちっちゃい電話、鳴ってたで」

「え、うそ!?」

 店を飛び出した時、キッチンに置き忘れていったスマホを実梨が慌てて手に取る。

 画面を見ると、庄一からの着信が5件、メールが2通入っていた。

 美咲に何かあったのでは……と、逸る気持ちを抑えながらメールを開き、絶句した。

 ボロボロと涙をこぼし始めた実梨に、漣が驚いて駆け寄る。

「実梨、どうかしたのか? もしかして、美咲さんに何か?」

「……うん、うんっ。美咲の、意識が戻ったってぇ……」

 安堵と嬉しさの混ざった涙をひとしきり流した後、実梨は再びカフェから飛び出した。

 その表情は、漣がずっと見たかった、光輝くような笑顔だった――。


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