表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エッグプラネットカフェ ~茄子神様の舞い降りた店~  作者: 矢凪
♪序章♪ 茄子色のプレリュード
25/35

♪第四章♪ 茄子色のセレナーデ *2*

「なぁ、ナスやん……じゃねぇや、蒼空……」

 美咲が休憩に入っているのを見計らい、漣は蒼空をナスイーツで釣って話しかけた。

「なんや、(あん)ちゃんの未来のことなら知らへんで」

 さっきの話の続きなら、もうしないぞ、と顔を背けつつ、その手だけは魅力的なおやつ――冷えた透明なナス形の器に入っているパンナコッタ――に伸びている。

 北海道産の『ハスカップ』というベリー系の甘酸っぱい果実とナスを一緒に煮て作った、濃紫色の鮮やかなソースがかかっていて、見るからにおいしそうだ。

「そうじゃなくてさ、もし知ってたら教えて欲しいんだけど……美咲って、どっか身体、悪いのか?」

 答えてくれたら渡す、というように、漣は蒼空の手の届かないところに器を持ち上げ、質問した。

「は? そんなん本人に聞けばええやろが」

「んなデリケートなこと、女性に聞けるわけないだろ。俺、何度か夕飯に誘ったんだけど、用事があるとか言って、いっつも断られて。最初は断るための口実かなーと思ってたんだけどさ」

「後を尾行(つけ)たんか?」

「っていうか、帰りに駅前で暇つぶししてたら、偶然……」

 美咲が駅前にある総合病院に入っていくのが見えたのだ。

 最初は誰かのお見舞いなのだろうと思った漣だったが、お見舞いの花を持っていたわけではなかったことに気付いた。そして聞くに聞けず、不安を抱き始めたのだった。

「なぁ、何か知らねぇ?」

「知るかボケ。俺様は外に出られへんねんで。そんな外のことまで知るわけないやろ」

「あー……そういえば、そうだっけ」

「ほな、逆に兄ちゃんにひとつ質問や。この店を開く前に会った美咲ちと、今の美咲ち、どっちが好みや?」

「……は? 質問の意味わかんねーんだけど? 美咲は美咲だろ?」

「その答えじゃ、三十点しかやれんな。ほな、おまけの質問。ナス姿の俺様と、ちょっと前の俺様と、今の俺様、どれが一番カッコええと思う?」

「なんかムカつく質問だな、おい。でもまぁ、今なんじゃね?」

「ほなもう一回、最初の質問に戻るで。前の美咲ちと、今の美咲ち、どっちが好きや?」

 蒼空の問いの意味に、ようやく気付いた漣が、そういうことか、とつぶやく。

「そうだな。俺は――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ