5年2組の伝言ゲーム
前書き
()→心の声
《》→次の人に耳打ちしている時の声
何もなし→普通の会話
先生
みなさん!今日は伝言ゲームをします!
相沢さん
先生。伝言ゲームって何ですか?
伝言ゲームというのはあるグループが一列になり、列の先頭の人に、元となる一定の言葉を伝え、伝えられた人はその言葉を次の人の耳うちし、それを最後の人に伝えるまで繰り返し、最後の人は自分が聞かせてもらったと思う言葉を発表し、元の言葉と発表された言葉が一致するかどうか、またどの程度違っているかを楽しむ遊びである
ウィキペディアより
先生
では出席番号順に相沢さんから始めて、最後の羅山くんまで順番に伝えて行こう。
羅山くんは先生に伝えてね!
羅山くん
ウィー!
先生
最初だから簡単な言葉で行こう!
行くよ相沢さん。
《リンゴを食べたゴリラ》
相沢さん
(リンゴを食べたゴリラ……。それにしても伝言ゲームって面白そう!)
じゃあ入来くん!言うよ!
《リンゴを食べたゴリラ》
入来くん
(リンゴを食べたゴリラか。簡単だな!)
おい小川!頼むぞ!
《リンゴを食ったゴリラ》
小川くん
(リンゴを食ったゴリラ……。リンゴ食ったゴリラ……)
次は菊野ちゃんか。頼んだ。
《リンゴ食ったゴリラ》
菊野さん
(リンゴ食ったゴリラ……?忌々(いまいま)しい!ゴリラなんかリンゴに食べられちゃえば良いのよ!!)
……黒羽。言うよ。
《リンゴがゴリラを食べた》
黒羽くん
(リンゴがゴリラを食べた……?いや、おかしい。たぶん菊野の事だから、またひねくれた事を言ってるに違いない)
おい目が怖いぞ菊野。つぎは米田か。
《ゴリラがリンゴを食べた》
米田くん
(ゴリラがリンゴを食べた……。なぜゴリラはリンゴを食べるのだろう。ひいてはゴリラは何故ものを食べるのだろう、いや、何故生き物は食べるのだろう?そもそも僕はどうしてここにいるというのか……。)
権藤。次は任せた。
《問 なぜヒトは生まれたのか?》
権藤
(あははははは!また米田がわけわかんない事言いよる!知らんわい!なんで生まれたかなんか知らんわい!ウンコするためじゃねえの!ウンコウンコウンコー!)
ふう。では鈴木くん。頼みましたよ。
《ウンコ漏れそう》
鈴木
(ウンコ漏れそう!?いや絶対違う!絶対お題と別物になってるよ!いやでも、正確に伝えないとな)
あ、仙田ちゃん、その……。
仙田さん
なによ鈴木。早くしてよ。
鈴木くん
あ、うん。
《ウンコ漏れそう》
仙田さん
(な、なんて事言ってくれてんのよ!女の子になんて事カミングアウトしてくれてんのよ!私に何を求めてるの!?今度からウンコマンって呼ぶわよあんた!)
あ、伝言ゲームだったわね。次、岨野。
《鈴木がウンコ行きたいって》
岨野くん
(いやっほう!ウンコ!?そんな事より早く休憩に行きたい!ドッジボールしたいから!さっさと伝えて終わらせるぜ!!!)
田中!!君に決めた!!!
《ウンコマン鈴木》
田中さん
(いや絶対おかしい!先生が鈴木くんをウンコマン呼ばわりするなんて……!絶対におかしい!)
ごめん!もう一回聞いていい?
岨野くん
ん!?だから
《早くドッジボールがしたい》
田中さん
(変わってる!さっきと変わってる!……どうしよう。でもそのまま伝えないと……)
えっと、津田くん言うね。
《早くドッジボールがしたい》
津田くん
(ひいいいい!あの大人しそうな田中さんがドッジボールしたいって言うなんて!あんな1ゲーム毎に必ず1人は死人が出るデスマッチを好むなんて!怖い!世も末!終末!!世紀末!!!)
助けて手塚くん!!
《まだ死にたくない》
手塚くん
(うわやっべ!算数の宿題忘れちまった!うわやっべ!やっべ!本当にやっべ!先生に怒られるやっべ!帰ろうかな!やっべ!やっべ鼻水出た!うわ死のうかな!うわやっべ!死ぬしかねえわ!やっべ!まじやっべ)
おい寺原!!!
《算数の宿題貸して!!!》
寺原くん
(手塚がまたテンパってやがる。まあ俺はそのまま伝えるしかないしな)
次、富山。
《算数の宿題貸して》
富山犬
(ワンワンワンワンワンワン!)
ワンワンワン!!
《ワンワンワンワン!!!!》
内藤さん
(メー!?)
メーメー!メーメー!!
《メーメーメー!!!》
中崎くん
(カレーが食べたいカレーが食べたいカレーが食べたいカレーが食べたいカレーが食べたいカレーが食べたいカレーが食べたいカレーが食べたい!!!)
カレーが食べたい!
《カレーが食べたい》
二木くん
…………能登よ。伝えるぞ。
《リンゴを食べたゴリラ》
能登さん
(はいはいハワイハワイ)
んじゃ浜田言うよー。
《呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる何があっても呪い殺してやる……!》
浜田さん
(怖い!なによ呪い殺してやるって!いや!能登っちは二重人格者だからおそらく裏の人格が言っていることに違いないわ。とはいえこの言葉をそのまま伝えるのはなあ)
おーい本郷。言うよー。
《祝ってやる》
本郷どの
(ほう!めでたいのか!誰じゃ「おめでた」なのは!先生か!彼女いない歴=年齢の先生が妊娠しおったか!はっ!……ということは処女懐胎!?しかも男なのに!?先生はマリア様だったというのか!そういう事なのか!?)
……丸本よ。
《先生は神》
丸本くん
(先生は神……?そうか!だから俺はこのクラスにいるのか!これぞ運命!俺は神に選ばれし戦士に違いない!今度から近所の園児と砂場の領有権を巡って戦っても、負けることはないだろう!ふふふ!)
水谷くん
おい丸本早くしろよ。
丸本くん
……ああ。
《俺が神だ》
水谷くん
(俺が神だ……?うーん。これ絶対違うわ。もう何を伝えても同じなんじゃねえの?)
おい桃井。
《パンツ見せてくれ》
桃井さん
(うわ最低!先生にそんな趣味があったなんて!小学生のパンツを見たいなんてとんだ変態だわ!教育委員会に言いつけなきゃ!)
ちょっと山田くん聞いてよ!
《先生はロリコン》
山田くん
(要はそういう事なんだろう)
あとは頼んだ吉田。
《الله ميت. والوركين مؤلمة.》
吉田くん
(いや、わっかんねーよ!ん?そういえば山田は先月隣町に引っ越したハズじゃあ……。
—————では、俺が今会話していた山田はどの山田だというのだ……?)
羅山!締めは頼んだぞ!
《山田は死んだ!》
羅山くん
え?なんだって?
吉田くん
だから!
《山田は霊体!!》
羅山くん
え?なになに?
吉田くん
だーかーらー!
《山田は幽霊なんだって!!!》
羅山くん
おっけーい!俺が華麗に締めてやるぜ!!!
ヘイヘイヘーイ!!!
先生
さあ羅山くん。伝わった言葉を聞かせてくれるかな?
羅山くん
《かつてザビオス大陸を支配したグルー族は突如歴史から姿を消した。新大陸から渡ってきた蛮族が、わずか5年でグルー族を滅ぼしたのだ。
そうして新たにザビオス大陸を支配した蛮族こそ、そう。フェーリマン族である。
要するに貴様はロリコンだ》
先生
何が起きた。
お読みいただきありがとうございました!