守りたいと思う者
リンカの運び込まれた治療院はどうやら宗教的な施設と併設されているようで、大きな建築物の中にあった。
ユナス大陸の主神ユーナス女神を崇める教会と似たような役割を担っているのだろう。
道中、沢山のメイロウ人に会ったがフランが話していたように男性はあまり家から出ないのか、ほとんど見かけることが出来なかった。
治療院には沢山の女性が居たが、皆フランよりも線が細くリンカと似たような体型をしているようだった。
リンカは治療院で薬を飲まされたのか荒かった呼吸が幾分か和らいでいてラーズはホッと安堵の息を吐いた。
まだリンカを助けてから何日も立っていないにも関わらず、リンカが気になって仕方がない自分に気が付き驚いた。
ユナス大陸にとって貴重な女性だと言うのもあるだろう。
リンカの目尻から流れ落ちた涙が乾き白い筋となり頬に残っている。
もしかしたらラーズが部屋を出たあとで一人で泣いていたのかも知れないと思いいたり、胸の奥が締め付けられるような感覚を抱く。
「リンカ……」
そっと仰向けに横たわるリンカの頬に手を伸ばし、壊れ物を扱うように静かに添える。
この小さな少女を守りたいとラーズは決意した。