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リンカの父

 リンカの父、ケイロンは商家の三男で継ぐべき店もなく、妻のフェイとコレリアン王国内を行商しながら生計を立てていたらしい。


 ケイロンとフェイに子供はおらず、行商の道中、賊に襲われたらしい鳥車を発見した。


 しかし鳥車を引いていたはずのグランデールはどこにもおらず、破壊された鳥車には冷たくなった2つの遺体があった。


 遺体に縋り付くようにして眠る幼子は全身泥だらけでまだ息があり、両膝と両手に乾いて血液が固まった擦り傷があり、高熱をだしていた。


 ケイロンはフェイに高熱で弱っているリンカを預けると、何か身元が分かるよなものが無いかと鳥車の中を探したが、装飾品や商品はもちろんのこと遺体の衣服も剥ぎ取られてしまっている。


 遺留品を探すのを諦めかけたケイロンは横倒しになった鳥車の下敷きになった手記を見つけて回収したそうだ。


 自分の子供ではないが、ケイロンとフェイはリンカを慈しみ育ててきた、しかし成長と共に他の娘達と成長に明らかな差が出始めて悩み始めたリンカに養子である事を告げる前に、ケイロンが懇意にしていた漁師の長男へのリンカの嫁入りが決まった。


 メイロウ大陸では女性より男性が少なく、器量が良い娘達は伴侶を持つことが出来たが、リンカが伴侶を得て妻として人並みの幸せを得ることが難しいと感じていたケイロンとフェイは出来る限り花嫁道具を設え、私財を持参金に持たせることでリンカを嫁がせることに決めたのだ。


 嫁入りの準備で忙殺され、ついぞ渡すことができず、読めない文字で書かれた手記はリンカが嫁に行った翌日に渡そう、そう話していた矢先に、リンカは婚家を飛び出して行方がわからなくなってしまったそうだ。


 ケイロンさんは懐から汚れて色が変わった跡が僅かに残る羊皮紙の束をリンカに差し出した。


「リンカ、本当はもっと早くお前が養子であることを伝えなければならなかったのに、お前に嫌われたらと本当のことを話せずにいた私達を赦してくれ」


 断罪を待つ罪人のように目を伏せるケイロンの固く握りしめられた手を取りリンカは静かに両手で包み込んだ。


「お父様、ごめんなさい……私、自分が養子だって知っていたの、でも認めたくなくて、もし認めてしまえばお父様もお母様もいなくなってしまいそうで、こっ、こわっ、かったの」


 ケイロンの手に額をつけてリンカはクシャリと顔を歪ませると、瞳からポロポロと涙を流した。


 ケイロンはリンカの身体を抱き締める。


「嫌うわけがないだろう、お前は私とフェイの大切な娘なんだから」


 

 

ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。


作者の作品です暇つぶしにいかがでしょうか?

作品タイトル

『美しい生き物は受け付けません!障らぬ美形に祟りなし!~旧タイトル≪美しい生き物は受け付けません!悪役令嬢ってもしかしてこれのこと言ってますか!?≫ 』

http://ncode.syosetu.com/n5275cr/


*あらすじ*

「父上、こんなちんくしゃが僕の婚約者なのですか?」


 初めて紹介された自分の婚約者候補の第三王子ルーベンス殿下の発言にぽっちゃり公爵令嬢のリシャーナ・ダスティアは絶句した。


 今なんつったよこの王子、えっこれが婚約者とかマジ勘弁!

 いくら見目麗しい男子でも、王子でお世継ぎ筆頭だろうがこんな婚約者は要らん!


 即行で婚約を全力回避、十五歳になったリシャーナの王立学院での悠々自適な生活は男爵令嬢に惚れ込んだルーベンス殿下と愉快な仲間達の起こした集団リンチで崩れ去った。


 頭痛と共に甦った記憶、ちょっとまて、これって所謂乙女ゲームのエンディングじゃん。


 しかも現実で逆ハーレムとか迷惑極まりないっしょ。


 とりあえずプチっと逆ハーレムエンドは潰したけど、どうやら騒ぎを起こした子息や男爵令嬢、王子を逆廃嫡ザマァしてハイ終了には内政的に出来ないようなので、モブキャラなのに王様に顔だけ美形なバカ王子の更生を押し付けられました。


 本当に美形に関わるとろくなことがない!なんで奴等は次から次へと厄介事を運んでくるんだ!?私の平穏な日々をかえせー!


 これは自分らしく生きたいモブ令嬢の奮闘記です。



 注:自己中もぶ娘よ、お前はいったい何がしたいんじゃい!と作者が突っ込みたくなります。


 現在加筆改稿作業中です。ご迷惑をお掛け致します。大幅なストーリー変更の予定はございません。


 R15とガール&ボーイズラブは念のため設定します。話がどこに向かうかわからないので・・・・・・。またおもいっきりご都合主義です。深く考えずにお読みください。



小説タイトル

『二度目の人生は男ですか!? 元喪女に王太子は重責過ぎませんかね?』

http://ncode.syosetu.com/n0851cv/


*あらすじ*


この度会社帰りに事故にあい、気が付けば赤ちゃんになってしまっていました。


 乳児からやり直しという羞恥プレイを乗り越えて突き付けられたのは女の子じゃなくて男の子としての人生やり直し、しかも異世界……。


 魔法なしの異世界で弱小国家の王太子殿下に生まれ変わったもと喪女が大往生目指して奮闘するお話。



小説タイトル

『拾った迷子は皇太子!?』完結済み

http://ncode.syosetu.com/n9772by/


*あらすじ*

 マーシャル皇国の辺境で弟と暮らすナタリアは何かが燃える臭いに慌てて飛び起きた。


 火元がナタリアの村では無いのを確認し、帰宅途中で弟のゼインが森の中で見付けたのは血塗れの男!


 息はあるのでゼインの反対を押しきり拾ってきた身元不明の怪我人はなんと自国の皇太子殿下だった!?


 死んだと噂されている婚約者を探し続ける、諦めの悪い皇太子カイルと、自分を嫁にするといって訊かないシスコンの弟。


 周囲に振り回されながら、じゃじゃ馬なナタリアは次第に自分の忘れ去られた過去を取り戻す。


 自己中ばかりの男性陣相手に果たして幸せはやって来るのか!?

 ドレスも化粧も苦手でコルセットは天敵なナタリアの人生奮闘記


小説タイトル

『神様の恋人【旧タイトル百万回死んだら神様になったので、自分の治める星を創ります。】』完結済み

http://ncode.syosetu.com/n3941dr/


あらすじ


「おめでとうございます!あなたは百万回転生を果たされましたので神様です。」


 寿命を全うして、肉体から抜け落ちた主人公が、自分だけの惑星を創り家族を持つまでの話。


『あっち向いてホイ!でそのチート回収させていただきます!』短編

http://ncode.syosetu.com/n5994dt/


あらすじ


神様がバラ撒きすぎたチートスキルを回収する任務を任された新人神様があっち向いてホイで転生者からチートを回収して歩くお話です。

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