金曜日:再計画
金曜日:再計画
男を立ち上がらせるために最後に私がとった方法は単純なもので、彼を尾行するというものだった。発想の転換で、彼が帰るまでそこにいるというものだ。
いつものように私は男の隣に座る。男はぼんやりタバコを吸う。しばらくすると同じ格好の制服が坂の上に見える。彼らの視線を感じるたびに、私を身を硬くして息を飲んだ。
見られている。噂の変人と骨折するほどいじめられている私が一つのベンチに座っている。視線を集めて当然だ。被害妄想かもしれないが、蔑まれていると感じて次第に私は坂を見ることができなくなった。男の靴のつま先を睨む。革靴の縫い目を見て息を整える。男のタバコを吸う音に注意を向ける。
どれくらいそうしていたか、突然地面に影が伸び、「おい」と私は声をかけられた。聞きなれた声に恐る恐る顔を上げる。
あああああああ。
私は震えて身構えた。「やっぱ、XXじゃん」と馴れ馴れしく声をかけてくる。骨折以来教室では構われなくなった。それ以来彼女らを避けて私は誰よりも早く登校し、誰よりも早く下校している。あのときと同じように、ゆがんだ笑みを浮かべならが声をかけてくる。何を言っているのか聞こえない。男はこれを聞いているのだろうか。恥ずかしい。男に嫌われてしまう。目の前が真っ暗になる。
やめて。やめて。
逃げるように私はベンチから走り去る。バッグに入れたままの猫缶が重く不愉快だ。遠くから何か声をかけられているのが聞こえるが、私には理解できない。
どのみち私は天国に行けるはずがないのだ、
私の書いた遺書には、私をいじめた人間に対する恨みがびっしりと書かれている。この一週間で証拠もそろえた。花瓶に入れられた私の体操服や灰皿代わりにされた上履きは写真に撮ったし、やつらの暴言も録音した。自殺は怖いけれど、見て見ぬ振りをした教師と、無関心な両親に復讐したい。だから私は自殺する。