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春のホタル

作者: 片桐渚

「なあ、ホタル見に行かないか?」

「はあっ?」


 始業式が終わり、俺が余りのダルさに教室で仮眠をとっていると、後ろの席に座る"男の"友人からそんな提案をされた。

 こいつは俺以上に睡眠が必要なのではないだろうか?

 それともまさか……。


「いや、そういう趣味はないよ? ただ、女子が行くには刺激が強いかと思ってね?」


 刺激が強いホタルって何だよ……。

 まるで訳がわからない。



 数日後。

 俺はとある田舎の川縁にいた。

 辺りには桜が燃えるように咲いていて、春だと主張している。


「春なのにホタルって何だよ……」

「ごめんね、付き合わせて」

「全くだ」


 歩くこと十数分。突然、ここだと言って一軒の小屋に入っていった。あまりに小さくて、気を付けないと天井に頭をぶつけそうだ。


「早く来てよ」


 上に気を付けながら小屋に入ると、水槽がたくさん並んでいた。

「これは?」

「ホタルだよ」

「俺の記憶では、ホタルは水ではなく空を飛ぶ筈なんだが?」

「それは成虫でしょ? これは幼虫」


 そう言って見せてきたのは、ゲジゲジのような虫が大量に入った水槽。

 なるほど、これは確かに女子には刺激が強いホタルかもしれない。夏の形しか知らなければ尚更だ。


「僕らは、ホタルの保護活動をしているんだ。で、今日は水槽の掃除をしようと思ってさ」


 そう呟く彼の横顔は生き生きとしていた。


「仕方ない。俺も手伝うよ……」


 黄色い光が煌々と萌える夏の風物詩を夢見て。

先日、ホタルの保護運動を行うボランティア団体のかたとお会いする機会がありまして、その時に見せて頂いた経験を思い出しながら書きました。


綺麗な川が増えて、もっとホタルが住める場所が増える……。

そんな未来を願っています。

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― 新着の感想 ―
[一言]  葵枝燕と申します。  『春のホタル』、拝読しました。  春にホタルを見に行くなんて——と思っていたら、そういうことだったんですね。納得したと共に、何だか複雑な気持ちになりました。  もしも…
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