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ハッピー バレンタイン
「お兄ちゃ~ん」
「ん!?」
「お兄ちゃんは、どんなチョコレートが、食べたい?」
「なんだ、いきなり?」
「やだぁ。バレンタイン!バレンタイン!もうすぐ、バレンタインデーじゃない!」
「・・・・・ああ、そういうのも、あったな・・」
「なにっ!その、気のない返事。こんなに大切な日なのに!」
「いや、そういうことじゃなくてね・・」
「いいもん!いいもん!とびきり美味しくて、おっきなの用意して。お兄ちゃんを驚かせてやるんだから」
「・・・・・」
しのぶは、駆け足で、部屋にこもってしまった。
「女の子が、初めてあげるマジチョコよ。勢い込む心境をわかってあげなさい」
そういう沙江子は、まるで、本当の母親のように(?)、優しくたたずんでいた。
「・・・バレンタインって、来月の行事ことじゃありませんでしたっけ?」
それは、暦の上では、一月のある日のことであった。




