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「ほら見ろ!場所も、程度も、考えず、大暴れして。危うく、大惨事だったぞ!」
「だって・・」
「だってじゃない!」
「でも・・」
「でもじゃない!」
片づけ済んで、説教タイムである。
一志は、今、最初に、凶器を持ち出した、しのぶとアイリをプールサイドに正座させて、怒鳴りつけている。
ちなみに、一志も、つきあって、一緒に正座である。
・・・・・人に迷惑をかけることをしたら、叱るのは当然として、女の子二人が暴れただけで、あわや、施設壊滅など・・自身の、トラブルを呼び込む体質を棚に上げてはいないだろうか?
スパーーーンッ!
そこに、一志は、後ろで・・後頭部から、小気味のいい音がした。
振り向いたら、ビーチサンダル片手にした、沙江子だった。
「三人とデートなんだから、ちゃんと、平等に接してあげないとダメでしょ!諸般の事情は、わからなくもないけど・・だからこそ、こういうときだからこそ!相手のことを考えて、今なんて、完全に子ども扱いして。その、優しさが、逆に、どれだけ、女の子を傷つけると思ってるの!」
そう・・・怒られたのだ。
叩かれたのだ。
一志だって、被害を最小限にしようと、必死で駆け回った結果なのに。
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まあ・・スリッパ類で、叩かれるなど、どちらかといえば、ツッコミの類だが・・・
だが、母親から手を上げられるという、一志にとっての、初めての経験が、一志の心を苛んだ。
そこまで言われたからには、一志にだって、言いたいことはある!
「じっっっさい!子供なんだから!しかたないでしょうーーー!!!」
水着姿の美少女二人を指さして、声の限り、毅然と、言ってのけたのだった。
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ボジュワン!!
なんか、高温と高圧で、なにかが、蒸発したような、音が聞こえたような気がしたが、きっと、幻聴だろう。
未来ある、少年少女たちの物語が、こんなところで、終わるはずがない。
きっと、この先に、ハッピーエンドが、待っているに違いないのだから・・・?




